台湾有事答弁の高市首相、過去にも「舌禍」 放送・電波停止に言及
発足以来、好調な滑り出しを見せてきた高市早苗政権だが、台湾有事を巡る高市氏の国会答弁を機に日中関係が悪化した。政界きっての保守派論客として知られる高市氏だが、その率直な語り口が政権運営の不安要素になる可能性もはらむ。首相就任前の閣僚時代にも答弁が物議を醸したことがたびたびあった。
高市氏は7日の衆院予算委員会で、中国による台湾の海上封鎖が発生した場合の事態認定を巡り、「戦艦を使って武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になり得るケースだ」と答弁した。歴代政権は集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」について、台湾有事と直接関連付けて明言することを避けてきた。これまでにない踏み込んだ発言だけに波紋は一気に広がった。
台湾問題を「核心的利益の核心」と位置づける中国は、自国民に対する日本への渡航自粛要請や、日本産水産物の輸入の事実上の停止など「対抗措置」を矢継ぎ早に講じ、日中関係は悪化の一途をたどっている。
自民党ベテランは「安倍晋三元首相でさえ、任期中は触れなかった問題に高市氏は踏み込んだ。中国側の対応は当然とも言える。責任は大きい」と指摘。閣僚経験者は「なぜあんな答弁をしたのか。国内だけではなく、外交に与える影響も考えて答弁しないと駄目だ」と嘆いた。
高市氏の答弁は過去にもたびたび「舌禍」を招いてきた。
放送局の免許権限を持つ総務相を務めていた2016年2月の衆院予算委員会では、放送事業者が政治的公平性を欠く放送を繰り返した場合、電波法に基づき電波停止を命じる可能性に言及した。総務省の従来見解との受け止めもあったが、放送局の存廃につながる権限行使に国会で繰り返し触れたことに野党は激しく反発。当時、連立を組んでいた公明党幹部からも「緊張感を持って答弁してほしい」と苦言が呈された。
放送法の政治的公平を巡っては、23年の通常国会で議論が再燃し、高市氏も渦中の一人となった。第2次安倍晋三政権内部のやりとりを記した総務省の文書が明るみに出たためだ。文書には、14~15年、礒崎陽輔首相補佐官(当時)が安倍首相(同)の意向を踏まえ、総務省に解釈の変更を迫った様子が詳述されていた。当時、総務相だった高市氏に総務省幹部がレク(説明)をした際のやりとりも記録されており、高市氏が「テレビ朝日に公平な番組なんてある?」などと発言したと記されていた。
高市氏は自身に関わる記載は全て「捏造(ねつぞう)」だとし、本物なら閣僚も議員も辞めるかを問われ、「結構だ」とまで言い切った。だがその後、総務省がレクが実在した「可能性が高い」と認めると、高市氏は「文書は不正確だ」などと反論。言った言わないの水掛け論となり、国会は紛糾した。
一連の質疑のなかでは、「答弁は全く信用できない」などと追及した野党議員に対し、高市氏が「答弁が信用できないなら、もう質問をなさらないでください」と感情的になって反論する場面もあった。審議は一時中断し、高市氏は発言撤回に追い込まれた。
開会中の臨時国会は12月17日の会期末までに、党首討論や補正予算案の審議などが実施される見通しで、今後も高市氏の答弁に注目が集まりそうだ。【東久保逸夫】
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