林氏、閣僚辞任を否定 野党「責任重い」と批判 収支報告書訂正巡り

2025/12/26 16:54 

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 林芳正総務相(衆院山口3区)は26日の記者会見で、昨年の衆院選の選挙運動費用収支報告書を訂正し、13人分の労務費の支出を削除したことについて「私設秘書が適切とは言えない経理処理を行い、関係者にご迷惑をおかけしたことをおわび申し上げる」と陳謝した。一方で「引き続き総務相としての職責を果たす」と述べ、閣僚辞任は否定した。野党は選挙を所管する総務相の責任は重いとして批判を強めている。

 林氏の陣営は25日、山口県選挙管理委員会に提出した選挙運動費用収支報告書を訂正し、同県山陽小野田市の13人に計13万円を支払ったとする記載を削除した。支出先とされた複数の人物が労務の提供と報酬の受領を否定し、内容に疑義が生じていた。陣営が提出した報告書は、ポスターの維持管理などの労務費名目で計約316万円を支出したとしていた。

 林氏は、労務費を支払ったとする269人分の領収書について、弁護士とともに支出の適正性を確認した結果、13人の13万円分が「必ずしも実態に合致しない領収書だった」と説明。同市を担当した私設秘書が、使用されなかった選挙費用を事務所に返金せず、「事務手続きの煩雑さを避けるため、適切とはいえない経理処理をした」と語った。「秘書が1人で領収書を偽造したのか」との問いに対しては「刑事告発がされたとの報道もあるので、詳細は差し控える」と述べるにとどめた。

 この問題を巡っては、労務費名目で支払った報酬の一部が運動員買収に当たるとして、大学教授が1日、陣営の出納責任者に対する公職選挙法違反(買収)容疑などの告発状を広島地検に送付している。

 林氏は、返金されなかった13万円の使途について「秘書は選挙後、秘書業務のために使ったと説明している」とし、「運動員買収などの違法な資金として使用された事実はない」と強調。出納責任者については「正規に支出された領収書であると信じて収支報告書に計上した」と述べた。担当秘書はけん責処分とした。

 立憲民主党の安住淳幹事長は、林氏が閣僚辞任を否定したことについて「公正な選挙を呼びかける責任者が総務相だ。他の大臣とはちょっと重みが違う」と批判。来年1月召集の通常国会で追及する考えを示した。【神山恵、池田直】

毎日新聞

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