なぜ外国人職員の採用やめる? 三重県の検討に撤回求める声広がる

2026/01/08 19:38 

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 三重県が職員採用に国籍要件を設け、外国人職員の採用を取りやめる方向で検討していることについて、各方面から県の動きを危惧し、撤回を求める声が高まりつつある。県内の各市長は相次いで採用の継続を表明。これを受けて一見勝之知事は8日の定例記者会見で「そういった声にも耳を傾ける」と述べた。

 地方自治体で働く労働組合員らの全国組織・自治労の伊藤功書記長は6日、ホームぺージに「ただちに撤回すべきだ」とのコメントを掲載。国籍や出自を理由とする差別やヘイトスピーチが深刻な社会問題になっていることを挙げ「地方自治体の長が迎合することは極めて不適切で遺憾」とした。

 さらに「三重県多文化共生推進計画に矛盾する」と指摘。「地域で生活する外国籍住民に対し、あなたは対等な構成員ではないという排除の姿勢を示すことになりかねない」と懸念を表明した。

 9日には東海労働弁護団など法律家3団体が方針の即時撤回を求める共同声明を出す。

 県内自治体では既に、鈴鹿市の末松則子市長や桑名市の伊藤徳宇市長が外国人職員の採用を継続すると言明。正規の外国籍職員2人と会計年度職員約30人が在籍する津市の前葉泰幸市長も7日の定例記者会見で「今後も変えるつもりはなく、なんら課題があるとも認識していない」と述べた。伊賀市の稲森稔尚市長は年頭訓示で県の動きに「外国籍の方を排除するメッセージにつながってしまうのでは」と危機感をあらわにしている。

 こうした流れは8日も。松阪市の竹上真人市長は定例記者会見で、職員の募集要項に外国籍職員の任用に関する基準が定めてあるとした上で「今の状態で何ら不都合はない。県の発言を受けて松阪市が変える必要はない」と述べた。

 松阪市には外国籍の人が5000人以上暮らしており、税金を払って公共サービスを受けている。市は事務職や研修医など正規4人を含めた外国籍の職員を計20人雇用。竹上市長は「外国の方抜きで松阪市の社会を形成するのは無理だろう。だから尊重、共生するのは当たり前の話だ」と述べた。

 この日、新春の記者会見に臨んだ名張市の北川裕之市長は、副知事を通じて一見知事に「全国知事会が採択した多文化共生宣言にも逆行する」と伝えたことを明かした。

 県民意識調査を踏まえて判断するという知事の意向に対しては「設問で丁寧な説明ができず『やはり外国籍職員は危ない』などという刷り込みになる」と言及。これまで通り採用を続けるとし、「運用で解決できる。もう少し職員の心情も考えてほしかった」と述べた。

 一方、一見知事は8日の年頭記者会見で「多くの団体から意見が寄せられているのは承知している。そういった声にも耳を傾けて最終的にはどこかのタイミングで判断していくと思っている」と語るにとどめた。【渋谷雅也、下村恵美、大竹禎之、久木田照子】

毎日新聞

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