茂木外相、中東アジア5カ国・地域訪問へ 中国念頭に同志国連携強化
政府は9日、茂木敏充外相が10~18日にイスラエル、パレスチナ、カタール、フィリピン、インドの中東・アジア5カ国・地域を訪問すると発表した。中国との関係が悪化し、米国も自国周辺の「西半球」を優先する姿勢を強める中、同志国との連携を強め、日本の存在感発揮を目指す。
昨年11月の高市早苗首相の台湾有事を巡る国会答弁後に悪化した日中関係は、中国による軍民両用(デュアルユース)品目の対日輸出禁止措置に発展。外務省幹部は「『ライクマインデッド(基本的価値観を共有する)』の同志国との連携強化が特に大事になっている」と指摘する。
茂木氏は日米豪印の協力枠組み「クアッド」を構成するインドを訪問。外相間戦略対話で経済安全保障の協力を進め、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」に向けた連携を強化する。中国が南シナ海で威圧を強めるフィリピンも訪ね、外相会談やマルコス大統領への表敬を調整する。
インドは2020年に中国軍と国境で衝突し、死者を出した。フィリピンは排他的経済水域(EEZ)内のスカボロー礁(中国名・黄岩島)を中国が12年から実効支配し、フィリピンの漁船が中国海警船に排除される事態が頻発。「日印比3カ国はインド太平洋地域で領有権に絡み中国とぶつかる最前線を持つ共通点がある」(政府関係者)
中東では、日本はイスラエル、パレスチナ双方と関係を築いてきた実績がある。茂木氏はイスラエルでサール外相と会談し、人道状況の改善やNGO関係者の支援受け入れを促す。パレスチナに対しても、自治政府の行政能力向上を求め、支援姿勢を示す構えだ。
日本はトランプ米大統領が注力したパレスチナ自治区ガザ地区の和平計画を後押しし、独自の人道支援や復興への取り組みを進め、中東外交で存在感を発揮したい考え。停戦に向けた仲介役を果たすカタールとの連携も進める。
昨年10月の外相就任後、2国間訪問では初の外国訪問となる。茂木氏は9日の記者会見で「既存の国際秩序が揺らぐ中、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持すべく、同志国との連携、グローバルサウス(新興・途上国)との関係強化がかつてなく重要になっている」と強調した。【田所柳子】
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