沖縄・名護市長選、現職の3選確実 辺野古移設推進の高市政権と協調

2026/01/25 21:23 

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 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先となる沖縄県名護市で任期満了に伴う市長選が25日投開票され、移設工事を進める高市早苗政権と協調路線を取る無所属現職の渡具知(とぐち)武豊氏(64)=自民、維新、国民民主、公明推薦=が3選を確実にした。県内移設に反対する「オール沖縄」勢力が支援した無所属新人で元市議の翁長(おなが)久美子氏(69)=立憲、共産、社民、地域政党・沖縄社会大衆推薦=との事実上の一騎打ちを制した。投票率は60・75%(前回68・32%)で過去最低だった。

 政府が名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部で進める移設工事は、シュワブ南側の埋め立てがほぼ終わり、軟弱地盤が広がる東側の大浦湾でも地盤改良や埋め立てが本格化している。現職の3選を受け、政府は今後も地元自治体の理解を得て、工事を進める。

 渡具知氏は当選確実の知らせを受け、事務所で支持者らと万歳。辺野古移設について、報道陣の取材に「市民の中に複雑な感情があることは理解している」としつつ「(国に対し)これからも要請を重ね、あらゆる財源を使って市民生活の向上を図っていく」と語った。

 市長選には無所属新人で学習塾経営の伊波(いは)勝也氏(67)を含め3人が立候補した。

 渡具知氏は初めて当選した2018年の選挙から一貫して辺野古移設の賛否を明言せず、今回も「私の発言によって工事に影響することはない」として言及を避けた。選挙戦では、移設への協力を前提に政府が支給する毎年約15億円の米軍再編交付金を使って保育料と学校給食費、高校卒業までの医療費を無償化した実績をアピールした。物価高対策として「過去最高額」の商品券配布などを公約に掲げ、幅広い支持を集めた。

 公明党は自民党との連立政権を離脱したものの、選挙対応は「政策本位、人物本位」で判断するという方針に沿って、25年12月に渡具知氏の推薦を決定した。告示直前に国政では立憲民主党との新党「中道改革連合」を結成したが、市長選では渡具知氏の支援を継続した。

 翁長氏は敗北が確実になり、報道陣の取材に「感触は良かったが、票につながらなかった。市民には(辺野古移設)工事が進んでいるように見え、諦めムードになっていると思う」と語った。翁長氏は辺野古移設に反対する立場だが、工事が進んでいる現状を踏まえ、生活支援の訴えに力点を置いた。選挙戦では玉城デニー知事の支援も得て、再編交付金に頼らず県の補助や市の予算の組み替えで子育て支援策を拡充させると訴えたが、現職との明確な違いを打ち出せなかった。

 1996年に日米両政府が普天間飛行場の返還に合意し、その条件として辺野古への移設計画が浮上して以降、名護市長選は今回で8回目。初めて辺野古移設が最大の争点とはならない形となった。2月8日投開票の衆院選や今秋に予定される沖縄最大の政治決戦とされる知事選を控え、移設反対で結集してきた「オール沖縄」勢力は正念場を迎えている。【喜屋武真之介、日向米華、比嘉洋】

毎日新聞

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