ミャンマ-総選挙、国軍系政党が単独過半数獲得の見通し

2026/01/25 20:41 

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 2021年のクーデター後、初めて実施されたミャンマーの総選挙は25日、最終の投票が行われた。これまでの集計結果から国軍系政党が単独過半数を獲得する見通しだ。

 民主派を排除して強行した選挙は、国軍の「想定通り」の結果となった。国軍は選挙の成功を主張し、政治的影響力を維持したまま「民政移管」を進めるとみられる。しかし、民主派など抵抗勢力との内戦は、終息の兆しが見えていない。

 総選挙では、昨年12月28日から3回に分けて投票が行われた。

 最終日の25日は、最大都市ヤンゴンの選挙区で下院に立候補している野党「人民党」のコーコージー党首が投票した。

 1988年の民主化運動を主導した元学生リーダーで、国軍への批判票を期待したが、同党は現時点で1議席を確保しただけという。コーコージー氏は「公平な競争の場ではなかった」と語った。多くの民主派支持者は棄権を選んだとみられる。

 選挙は、上下両院(定数664)のうち憲法で定められた軍人枠の166議席を除く498議席が本来の改選対象だった。ただ内戦が続く郡区で選挙は実施されず、空席を除くと議席数は計586で、過半数は294になる。

 軍事政権下の選挙管理委員会によると、第1~2回の投票で国軍系の連邦団結発展党(USDP)は233議席を獲得。最終投票で過半数を超える見通しだ。

 だが、公平、公正な選挙からほど遠いのが実態だ。15年と20年の総選挙で大勝した民主派指導者のアウンサンスーチー氏が率いる「国民民主連盟(NLD)」は23年に解党され、参加していない。

 有権者の関心は低いままで、第1回の投票率は50%を上回ったものの、20年の前回選からは大幅に落ち込んだ。「投票しなければ軍政から目をつけられる」という懸念から投票した人も多いとみられる。

 NLDの議員らが設立した民主派の「国民統一政府(NUG)」は「軍事支配を強化するために実施した選挙に正当性はない」と反発。国連なども懸念を表明し、ミャンマーが加盟する東南アジア諸国連合(ASEAN)も選挙監視団の派遣を見送った。

 一方、利害関係のあるロシアや中国、インドなどは選挙を支持。ベトナムやカンボジアなども個別に監視団を派遣した。

 国軍報道官は第2回の投票後に「今は経済制裁を科されているが、選挙後は制裁が軽減される。国際関係がよりオープンになり、投資も増えるだろう」と自信を見せた。

 しかし、国内の締め付けは厳しいままだ。

 選管は14日、「国民先駆け党(PPP)」のテッテッカイン党首が選挙期間中に届け出なしに外国大使館の関係者と面会したことが問題だとし、文書で警告した上で尋問したと発表した。テッテッカイン氏は軍政の閣僚経験者だが、経済政策で意見が分かれ、今回の総選挙で立候補資格を取り消されていた。

 選管は1月中に正式な結果を発表する見通しで、3月にも議会を招集して大統領を選出する。軍政トップのミンアウンフライン国軍最高司令官の就任が有力視されており、4月の新政権発足を目指すとみられる。

 ASEANはクーデター後、主要会議への軍政の首脳や閣僚の出席を認めてこなかったが、今後は形式的な「選挙」で選ばれた新政権を受け入れるのか判断を迫られる。

 26年の議長国フィリピンのラザロ外相は1月上旬、ミャンマーでミンアウンフライン氏と会談し、柔軟な姿勢を見せた。一方で、国軍以外の当事者とも、国内の緊張緩和に向けた会合を開いたとしている。

 28日から開かれるASEAN外相会議でも主要議題となる。【ヤンゴン武内彩】

毎日新聞

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