日本政治の大転換期 分断を深めてはならぬ 第51回衆院選を終えて
衆院解散から投開票まで16日間しかない戦後最短の衆院選。公明党から日本維新の会に連立相手を替えた自民党に地滑り的な歴史的大勝をもたらした。日本政治は大きな転換期を迎えた。
まるで高市早苗首相の「劇場」のようだった。街頭演説は人だかり。インターネット上では首相を激励する動画があふれた。与党で過半数を得られなければ辞めると宣言し「私か否か」のみを焦点化させた。
責任ある積極財政、国家安全保障戦略など安保関連3文書の改定、スパイ防止法制定、国旗損壊罪創設……。首相は「国論を二分するような大胆な政策・改革」を推し進めるという。政治は大きく右に旋回し、財政規律も揺らぐ。
だが、「白紙委任」を得たとばかりに「数の力」で押し切ることがあってはならない。有権者が政策を吟味する間もない超短期決戦で、個々の政策への説明は不十分なままだ。すべてで賛同を得たとは言いがたい。説明責任をしっかり果たしながら少数意見に耳を傾け、合意形成を図ることは民主主義の要諦だ。第2次安倍晋三政権でも問題視された世論の分断を深めてはならない。
首相が「日本列島を強く豊かに」と明るく訴える演説や動画など一方通行の発信に、多くの有権者は「現状を変えてくれる」との漠然とした期待感を膨らませた。首相への熱狂的な支持は、国民の間の根深い不安や不満を浮き彫りにしたと言える。選挙目当ての唐突な合流としか映らなかった中道改革連合をはじめ主要野党は、こうした不安と不満の受け皿にはなれなかった。
衆院選を受け、特別国会は18日に召集される見通しだ。首相は進める政策について丁寧な説明と理解を広げる努力が求められる。異論を排除して「国論を二分する」政策の実現を急げば、膨らんだ期待はしぼみ、厳しい目へと変わる。【政治部長・高山祐】
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