国旗損壊罪法案 刑法専門家、立法の根拠を問題視 衆院内閣委
衆院内閣委員会は25日、自民、日本維新の会、国民民主、参政の4党が共同提出した日本国旗の損壊行為などを処罰する法案について、参考人として有識者の意見を聞いた。法整備の根拠となる「立法事実」の有無が論点となり、刑法の専門家は、現行法では対応できない具体的事例を法案提出者が示していないことを問題視した。与党は26日に法案を採決する構えだ。
自民は24日の委員会で、1987~2008年に起きた4件の事例を国旗損壊罪の立法事実として紹介した。「いずれも現行法の器物損壊罪や暴行罪などで立件された」と説明。SNSの普及を踏まえ、「国旗を損壊する事案の発生を将来に向かって抑止する必要があることも立法事実の一つだ」とも訴えたが、現在の具体例は示さなかった。
これに対し、25日は参考人の江藤隆之・桃山学院大教授(刑法)が現行法で対応できる事例は立法事実に該当しないと指摘。その上で、国旗損壊罪の新設でしか処罰できないのは「主に自己が所有する国旗を損壊する」ケースに限られるとし、そうした事例は見当たらないと強調した。
志田陽子・武蔵野美術大教授(憲法)は、憲法が保障する「表現の自由」を制限する場合は「国民の重要な権利や生命、健康が危機にひんすることが確認されるレベル」の立法事実が求められると主張。「国旗損壊罪という人の感情を保護するための立法を議論する必要はない」と述べた。
一方、法案に賛成する百地章・日本大名誉教授(憲法)は自民が挙げた4件の事例に加え、参政の演説会場にバツ印を付けた国旗が持ち込まれたことなどを立法事実に挙げた。「国旗に象徴される国の威信と名誉こそ、本当の保護法益ではないか」と述べ、処罰対象を広げるべきだとの考えを示唆した。【田中裕之】
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