宮城県、強制不妊被害者に一律個別通知は「実施せず」 補償法巡り
旧優生保護法(1948~96年)下で強制不妊手術を受けた被害者へ補償金を支給する法律(補償法)が17日に施行される。申請窓口となる都道府県が被害者に制度を個別通知するかどうかの可否をめぐり、宮城県の村井嘉浩知事は15日の定例記者会見で「ケース・バイ・ケースだ」として一律実施はせず、個別案件ごとに柔軟に対応する方針を示した。
一方、政府が通知を都道府県の裁量のみに任せていることについては「(責任を)地方に押しつけている」と批判した。
村井氏は個別通知への対応について「(記録の欠損などで)個人を特定することが難しく、一律に通知することは難しい。周囲に知られたくないという人もおり、自ら手を挙げていただくことが一番だ」と説明した。
一方、県が福祉施設や医療機関の関係者らへ制度周知をするなかで、補償対象者が新たに判明した場合などについては「ケース・バイ・ケースで、県職員が当事者側に(何らかの方法で)通知することもありうる」と柔軟に対応する考えも示した。
補償法は被害者本人に1500万円を支給するなどの内容で、17日の法施行と同時に申請が開始する。こども家庭庁は15日、個別通知を行っている山形県や兵庫県などの先行事例を紹介する文書を都道府県に送付し、通知実施を促した。
一方、手術実施件数や残っている記録の数は都道府県でばらつきがあり、仮に個別通知をする場合、その負担は一律ではない。
宮城県の手術件数は全国で2番目に多い1406件で、県庁に記録が残っているのは900人分だ。村井氏は個別通知を促す政府の姿勢について「自治体任せで憤っている。国が民間の力を借りてでも実施すべきだ」と語気を強めた。【遠藤大志】
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