米国防長官候補のヘグセス氏、上院公聴会で性的暴行や飲酒問題を否定

2025/01/15 11:04 

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 トランプ次期米大統領(共和党)が指名した閣僚候補者らの承認に向けた連邦議会上院委員会の公聴会が14日、始まった。初日は上院軍事委員会に、女性への性的暴行疑惑や飲酒を巡る醜聞が報じられた国防長官候補の元テレビ司会者、ピート・ヘグセス氏(44)が登場。民主党の委員から醜聞について厳しく追及され、「中傷だ」などと否定したが、質問に正面から答えない場面も目立った。

 保守系ケーブルテレビ局FOXニュースの司会者を務めたヘグセス氏は元陸軍州兵で、イラクやアフガニスタンでの従軍経験がある。ただ、過去に性的暴行容疑で捜査を受けたことや、飲酒を巡る問題が相次いで報じられた。また、政府や軍の要職を務めた経験がないことに加え、「女性は戦闘任務に就くべきではない」と言及するなどしており、国防長官としての資質を疑問視する声が上がっている。

 ヘグセス氏は4時間に及んだ公聴会で、醜聞に関する質問に対して「中傷キャンペーンだ」などと否定。女性の戦闘任務については「女性も参加できる」などと述べ、以前の発言を翻した。委員は「なぜ女性の戦闘任務を認めるようになったのか」「発言は信用できるのか」などと迫ったが、ヘグセス氏は明確な回答はしなかった。

 政策に関しては、インド太平洋地域で同盟国や友好国と協力して「中国共産党」に対抗すると明言。トランプ氏が排除していないデンマーク領グリーンランドやパナマ運河に絡む軍事力の行使については、「トランプ氏は戦略的に手の内を明かさないことを得意としている。大統領がどのような命令を下すかは答えない」と述べた。

 一方、東南アジア諸国連合(ASEAN)の加盟国のうち少なくとも1カ国を挙げて重要性などを語るよう求められた際、「韓国、日本、オーストラリアと同盟がある」と回答。委員が「それらの国々はASEANではない。この種の議論の前には、少しは調べてくるべきだ」と指摘する場面もあった。

 閣僚の就任には上院(定数100)の過半数の承認が必要で、多数派の共和党から4人以上の離反者が出なければ承認される。公聴会について、米紙ワシントン・ポストは「(ヘグセス氏にとって)最悪の事態は免れたが、どちらに転ぶか分からない」と伝えた。

 15日は国務長官候補のルビオ氏や中央情報局(CIA)長官候補のラトクリフ氏らの公聴会が予定されている。【ワシントン松井聡】

毎日新聞

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