トランプ氏起訴取り下げ 検察官「有罪判決に十分な証拠あった」

2025/01/15 10:22 

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 米司法省は14日、トランプ次期米大統領が2020年大統領選で敗北した結果を覆そうとした事件について捜査を指揮したジャック・スミス特別検察官の捜査報告書を公表した。スミス氏は、トランプ氏が24年11月の大統領選で勝利したことを受け、現職大統領は起訴しないという司法省の立場を理由に起訴を取り下げた。報告書には「有罪判決を獲得するのに十分な証拠があった」などと記され、悔しさもにじませた。

 報告書は、トランプ氏が選挙後、「権力を保持するために、選挙の正当な結果を覆す前例のない犯罪的な取り組みに従事した」と主張。「全ての犯罪的努力の根底にあるのは、欺まんであり、米国の民主的プロセスの基礎となる連邦政府の機能を打ち負かす武器としてこれらのうそを使用した」などと批判した。

 そのうえで、起訴の取り下げは、現職大統領は起訴しないという司法省の立場が理由であり、罪の重大さや証拠の確かさとは関係ないと説明。「トランプ氏の(当選した)選挙と迫る大統領職への復帰がなければ、公判で有罪評決を獲得し、維持するのに十分な証拠があったと判断している」と結んだ。

 一方、トランプ氏は自身のソーシャルメディアで「狂ったジャック・スミスが、偽の捜査結果を公表した」などと攻撃した。

 スミス氏は、ガーランド司法長官に任命されてトランプ氏に関する捜査を指揮した。20年大統領選の結果を覆そうとした事件と、大統領1期目の退任時に大量の機密文書を許可を得ずに自宅へ持ち出した事件の計2件で23年にトランプ氏を起訴した。

 しかし、トランプ氏が大統領返り咲きを決めたため、スミス氏は起訴を取り下げた。スミス氏は、2事件の捜査報告書をガーランド氏に提出した後、今月10日に辞職した。機密文書事件に関する報告書については、トランプ氏と共に起訴された被告の裁判が続いているため公表されていない。【ワシントン西田進一郎】

毎日新聞

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