「差別禁止の明確な規定ない」 京都府の人権条例骨子案に異論相次ぐ
京都府が策定の準備を進めている「府人権尊重の共生社会づくり条例(仮称)」の内容が波紋を呼んでいる。昨年12月に骨子案が示されたが、関西で在日コリアンの人権問題に取り組む団体からは「差別を禁止する明確な規定がない」などと異論が相次いでいる。【鵜塚健】
骨子案によると、「不当な差別や人権侵害が存在し、特にインターネット上の人権侵害は誰もが被害者にも加害者にもなり得る」とし、被害者救済の必要性を指摘。「人権尊重の共生社会づくりに関する施策を策定、実施する」などとしている。
これに関し、京都や大阪、滋賀で民族差別問題に取り組む5団体が「ヘイトスピーチを許さない包括的な差別禁止条例の制定を求める」とした要望書を府に提出した。
各団体の代表らは20日、提出に先立ち、記者会見。「コリアNGOセンター」の郭辰雄(カクチヌン)代表理事は「骨子案には失望した。一体誰のための条例なのか」と疑問を投げかけた。
府内では2009年に排外主義団体のメンバーが京都朝鮮第一初級学校を襲撃した事件が起き、21年には宇治市ウトロ地区の民家に男が放火する事件が発生した。両事件とも在日コリアンへの差別意識に基づくヘイトスピーチ(憎悪表現)やヘイトクライム(憎悪犯罪)が問題とされた。
こうした背景をふまえ、郭さんは「深刻な差別被害を受けた人たちがいるのに、骨子案には差別を許さないとする文言が全くない」と批判した。
「京都府・京都市に有効なヘイトスピーチ対策の推進を求める会」共同代表の金尚均(キムサンギュン)・龍谷大教授も「悲しい事件がこの京都で起きたという背景が全く触れられていない」と指摘。「ヘイトスピーチは社会を分断するものだが、骨子案からは問題を解決しようという姿勢が見えない」と訴えた。
ウトロ平和祈念館(宇治市)の金秀煥(キムスファン)副館長は「複数の自治体の条例に差別禁止規定があるが、府の骨子案には全くない。差別に向き合う社会の責務が感じられない」と主張。「差別、偏見にさらされるマイノリティーの声をふまえ、よりよい条例にしてほしい」と求めた。
差別禁止を強く求める団体側の思いとは対称的に、府側の姿勢は消極的だ。府人権啓発推進室は「今回の条例は、新型コロナウイルス感染者への差別やネット上の誹謗中傷の悪化を受けて検討してきたもの。ヘイトスピーチやヘイトクライムを主な対象としているものではない」と説明。「ヘイトスピーチ対策としては、既にネット上のモニタリングや削除要請などをしてきたほか、啓発活動にも力を入れている」としている。同室は要望書の趣旨をふまえたうえで条例案を策定し、2月12日開会の府議会に提案するとしている。
ヘイトスピーチ対策を巡っては、国が2016年にヘイトスピーチ解消法を制定したが、明確な禁止規定や罰則は盛り込まれなかった。一方、大阪市は同年にヘイトスピーチ抑止条例を制定し、悪質なヘイトスピーチをした個人名や団体名を公表する規定を盛り込んだ。川崎市は2019年、ヘイトスピーチに初めて刑事罰を科すとしたヘイトスピーチ禁止条例を制定した。
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