失語症 数把握しづらく進まぬ支援 言語聴覚士「まずは知って」
脳梗塞(こうそく)や脳卒中などの脳疾患や交通事故などによる脳損傷で話したり聞いたり、文字の読み書きができなくなる「失語症」は、当事者の日常生活に大きな支障を及ぼす。近年、失語症者の意思疎通を助ける支援者派遣の制度ができ、滋賀県内でも支援者の養成講座が催されているが、派遣自体は進んでいない。失語症者への支援に取り組む同県言語聴覚士会理事で、言語聴覚士の伊井純平さん(48)に話を聞いた。【飯塚りりん】
◇言葉分からぬ国にいる感覚
――失語症者にはどういった障害がありますか?
脳の言語中枢がダメージを受けることで、話す▽話しを聞いて理解する▽書く▽読む――など言葉の能力が低下します。後遺症の残り方は人それぞれで、話しにくいけど聞くことはできる、日常会話程度なら話せる、全ての能力が失われる、など「失語症」と言ってもさまざまな程度があります。例えるなら、言葉の分からない国で暮らす感じに似ているかもしれませんが、失語症者には何不自由なく話せていた言葉が急に「分からない」という混乱と不安が沸き上がります。
◇全国に30~50万人
――失語症者は県内にどのくらいいますか?
全国には約30万~50万人、県内には約7000人いるという推計数字はありますが、正確な数字は把握できていません。判定できる言語聴覚士や診断できる医師が少ないため、病院で「言語障害」とひとくくりにされ、失語症と診断されないまま退院してしまう人がいます。また、身体障害者手帳の申請でも失語症単独では認定を受けられる等級が低く、障害者雇用の対象になりにくいなどの理由から申請自体をしない人も多いため、人数の把握が難しいです。
――失語症者への県内の支援体制について教えてください。
失語症者の意思疎通を手助けしようと、2016年に障害者総合支援法が見直されたことで、県も県言語聴覚士会に委託する形で22年度から「失語症者向け意思疎通支援者養成講座」を始めました。これまでに講座を受けた18人が支援者となりましたが、当事者の人数を考えるとまだまだ足りません。さらに他県では、支援者を個人に派遣し、病院や役所などでの同行支援を進めている自治体もありますが、県内では当事者団体の会に派遣するのみで、個人への派遣はできていません。
◇「失語症」知ってもらうことから
――県内で支援が進まない背景にはどういった課題がありますか。
一つは、失語症のリハビリやさまざまな支援に関わる言語聴覚士の人口が少ないことです。県言語聴覚士会に所属しない言語聴覚士もいるのですが、会員数の100人は全国で最も少ない人数です。言語聴覚士が少ないことで、病院で十分なリハビリが受けられなかったり、失語症の判定が進まなかったりします。こうした状況下で今年度、初めて言語聴覚士を育成する学科がびわこリハビリテーション専門職大学にできました。今後、支援者とともに言語聴覚士が増えていくことを期待しています。
――今後、失語症支援を進めていくために何が必要でしょうか。
そもそも失語症は個人差が大きすぎるため学問的なエビデンス(根拠)が弱く、行政を動かすのが難しい障害だと考えます。支援の仕方も難しいです。まずは多くの人に「失語症」を知ってもらい、県や市町に支援事業の必要性を理解してもらえるように取り組んでいきます。
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