「恫喝は日常茶飯事」 市職員名乗る情報提供 桐生の生活保護問題
群馬県桐生市の生活保護制度の不適切な運用について原因究明する第三者委員会の8回目の会合が14日開かれ、市民からの情報提供115件が集まったと報告された。うち6件が市職員を名乗る情報で「保護係の職員による恫喝、罵声は日常茶飯事で、他課職員でさえ聞くに堪えない内容だった」と内部告発ともいえる記述が含まれていた。【遠山和彦】
第三者委は今年1月6日から23日まで、市民の情報提供を呼びかけ、115件が寄せられた。うち100件が生活保護に関する情報だった。
市職員を名乗る情報は6件。その一つは、2018年から24年3月ごろの話として「保護係の職員による(生活保護受給者への)恫喝、罵声は日常茶飯事で、他課職員でさえ聞くに堪えない内容だった。誰も制止しなかった。自浄作用がない」と書かれていた。
別の情報には、13~17年ごろ、生活保護利用者を「ろくでもねぇ」「あいつらはくず」と言ってはばからない職員がいたと記述。さらに「同時期に市庁舎の保健福祉部長の席が衝立(ついたて)で囲われ、部下の様子が見えない状態で、福祉課の職員が来庁者に高飛車な態度で対応していても部長は把握できない状態だった」という情報が、市職員を名乗って寄せられた。
第三者委は「組織的な不適切対応を、他部署の市職員も認識していた」と判断。「市全体として重く受け止め対応を図ってほしい」と改善を要望した。
◇受給者らも指摘
市職員のほか、18~24年3月までの間に生活保護を受給した人や家族とされる情報も寄せられた。
ある受給者は、生後まもない乳児を連れて市の窓口に出向いたものの、家計簿の金額が1円でも合わないと怒鳴られ、眼鏡を買うと「これは税金ですよ」と怒鳴られた。ケースワーカーは自宅訪問で冷蔵庫を開けて「どんな生活をしているんですか」などとチェック。窓口でひどい言葉をかけられ、泣いた日もあった。見かねた隣の課の職員が声をかけてくれたといい、隣の課の職員の名前を挙げての情報だった。
別の情報では、レシートを厳しく確認されたとの声があった。週に1度、レシート付きの家計簿をケースワーカーに提出するよう求められ、生理用品の購入を知られるのに苦痛を感じた。レシートの出ない自動販売機で飲み物を買うと、なじられたという。
これとは別の情報で、市役所にはワイシャツにネクタイ、革靴で来るよう求められ、ひらがなや漢字の書き取り練習をさせられたという話もあった。
生活保護受給者と契約を結び、保護費を管理する金銭管理団体の情報も複数寄せられた。「保護を受ける最初の時に契約をすることになり、自分の意思は尊重されなかった」との情報や、「親が窓口に呼ばれて契約を結び、通帳と印鑑を団体に渡し、自分の意思は尊重されなかった」との情報があったという。
第三者委の吉野晶委員長は「委員会として真偽の調査を経たものではないが、中身を見ると少なからず不適切なことがあったのではないか」と述べた。
◇報告書は28日に
第三者委は年度内に報告書をまとめ、28日に荒木恵司市長に提出する。14日が最終回だったが、報告書に関する議論は、個人情報を扱うことを理由に非公開で行われた。
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