<eye>ウガンダの国立公園にすむ野生動物たち
公園に足を踏み入れると、野生のキリンたちが悠然と歩く姿を初めて目の当たりにして息をのんだ。ここは壮大な自然の光景を求めて世界中から観光客が集まる、アフリカ内陸国・ウガンダ最大の国立公園「マーチソン・フォールズ」だ。
ウガンダ北西部に位置する同園は、1952年に国内で初めて国立公園に指定された。面積は約5000平方キロで福岡県とほぼ同じ。例年10万人以上の観光客らが国内外から訪れるといい、記者が立ち寄った昨年10月もレンジャー(自然保護官)の車に乗った外国人たちと何度もすれ違った。
「この公園はまるで野生動物の楽園だ」。園内を案内してくれたレンジャー歴14年のロバート・カクルさん(37)はそう言ってほほ笑んだ。公園には76種類の哺乳類が生息する。日本の動物園でもなじみ深いキリンやゾウ、カバたちがアフリカの大平原で悠々と草をはむ。水辺に行くとバファローの群れが涼を取り、道の脇ではヒヒの親子が仲むつまじく歩いていた。
「そこの茂みをよく見てみて」。そう小声で話すロバートさんに従って車中から目を凝らすと、暗がりに二つの鋭い眼光がキラリと浮かんだ。ライオンのメスだ。この公園では約50頭のライオンが確認されている。彼らは夕暮れから早朝の狩りのピーク時に備え、日中は日陰に身を潜めて体力を温存しているのだという。
公園最大の見どころは、名前の由来でもある巨大な「マーチソン滝」だ。ナイル川の水が幅8メートルの狭い峡谷を一気に流れ、45メートル下の「悪魔の大釜」へと落下する。その衝撃で雨のような水しぶきが一帯に降り注ぎ、近寄ると柵越しでも体が水浸しになるほどの迫力だった。水しぶきには七色の美しい虹が架かっていた。
今でこそ平和な公園だがかつては密猟の被害が深刻で、園内に生息していたサイは絶滅した。しかし、レンジャーたちの保護活動によって生態系は少しずつ回復。70年代に約300頭まで減少したゾウも、現在は1000頭以上に数を増やしたという。
「この公園の豊かな自然を未来に残し、生物の多様性をさらに発展させたい。そして、より多くの観光客にこの素晴らしい景色を見てもらいたい」。そう語るロバートさんの言葉には、この大自然への深い愛情と誇りがにじんでいた。<写真・滝川大貴、文・郡悠介>
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