介護の日々つづる連載が単行本化 全身まひになった元記者支える妻
福岡市在住の元書店員でライター、高倉美恵さん(59)が、夫の介護や家族との日々をつづった毎日新聞西部本社朝刊の連載「眼述記」が、このほど単行本で発売された。連載で感じた「社会とのつながり」に支えられたという高倉さん。4月に刊行記念のトークイベントがある。
夫で元毎日新聞記者の矢部明洋さん(62)は2014年11月、脳梗塞(こうそく)に続き脳出血を発症。全身まひになり意識不明の時期が続いたが、その後、透明の文字盤を目で追って意思疎通できることが分かった。
17年に始まった連載では、深刻な事態に直面しながら医師や言語聴覚士など専門職の言葉に励まされ歩む日々を文とイラストで記録。文字盤で拾って初めて分かった夫婦の思考のズレなどを明るくつづった他、福祉サービスの手続き時などに感じた課題なども取り上げてきた。
連載途中、高倉さん自身ががんを2度患ったが、休載を挟みつつ継続。「連載で社会とつながっている感じがしてアイデンティティーになった」と高倉さんは振り返る。
25年4月からは連載が「真・眼述記」にリニューアル。書き手が矢部さんに交代する。矢部さんの思いを文字盤から原稿化する「通訳」とイラストで引き続き関わる高倉さんは「体の全てを介助していても(夫の)考えを知る機会はなかなかないので楽しみ」と話している。
◇ ◇
単行本「眼述記」は忘羊社刊、1925円。高倉さん登壇のトークイベントは4月5日午後7時、福岡市東区箱崎1のカフェ&ギャラリー・キューブリック。参加費2000円(1ドリンク付き)。オンライン参加1500円など。申し込みは予約サイトから。ブックスキューブリック箱崎店(092・645・0630)。【青木絵美】
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