南京大虐殺展示巡り賛否分かれる 長崎原爆資料館の更新審議会

2025/03/20 13:30 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 長崎市の原爆資料館の展示更新について話し合う運営審議会が19日開かれ、南京大虐殺などの日本の戦争の加害に関する歴史の展示について、委員から賛否両論が出た。

 現在の展示は、1937年12月の旧日本軍による南京大虐殺について「南京占領、大虐殺事件おこる」と年表に記すなどしている。

 長崎原爆被災者協議会の田中重光会長は、被災協がインターネットで公開した被爆者の証言動画に「日本の人道に対する戦争犯罪の犠牲者を忘れないでほしい」などの意見が寄せられているとして「核兵器のことを世界の人々に本当に理解してもらうには、日本の加害のこともはっきり述べてほしい」と話した。

 一方、「長崎の原爆展示をただす市民の会」の渡辺正光代表は「納得できる南京大虐殺の裏付けは何もない。でっちあげだ。(南京大虐殺について)展示する方向で決まっているなら、事務局は説明する責任がある」と語った。

 原田敬一・佛教大名誉教授(日本近現代史)は「『南京大虐殺は幻だ』という意見が議事録に残るのは耐えられない。従軍兵士の日記などさまざまなものの中に記録が残っている。不当に殺された市民や軍人がいれば虐殺なのであって、それを『幻だ』というのは歴史的事実として認められない」と述べた。

 審議会は展示更新の大まかな流れを示した「基本設計」の最終案を了承した。【尾形有菜】

毎日新聞

社会

社会一覧>