「すごく長かった」 地下鉄サリン事件から30年 遺族や被害者ら献花

2025/03/20 17:22 

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 オウム真理教による地下鉄サリン事件の発生から20日で30年を迎えた。現場となった東京メトロ霞ケ関駅(東京都千代田区)では、駅助役だった夫を亡くした高橋シズヱさん(78)が献花し、「ここに来ると(事件)当日のことを鮮明に思い出して悲しみが込み上げてくる。すごく長い30年だった」と心境を語った。

 高橋さんの夫一正さん(当時50歳)ら駅員2人が犠牲になった霞ケ関駅では、発生時刻に近い午前8時過ぎ、駅員約10人が黙とうした。その後、献花した高橋さんは「『本当はこんな人生じゃなかったのに』という悔しい思いもある。若い人たちをカルトから守る活動を続けていきたいと思っており、事件のことを忘れないでほしい」と風化防止を訴えた。

 初めて献花に訪れた千葉市の無職、町田聖治さん(48)は30年前、通勤途中に被害に遭い、現在も心的外傷後ストレス障害(PTSD)など心身の不調が続くという。「今もつらく、現実から逃げてきた部分もあった」と涙を流しながら振り返り、「(教団は)絶対に許せない。後継団体も被害者に賠償金を支払うなどしっかり罪を償ってほしい」と話した。

 この日は、東京メトロの6駅に献花台が設けられ、霞ケ関駅では中野洋昌・国土交通相も献花した。【木下翔太郎】

 ◇地下鉄サリン事件

 1995年3月20日午前8時ごろに発生。オウム真理教代表だった松本智津夫(麻原彰晃)元死刑囚(執行時63歳)の指示を受けた信者が、東京・霞ケ関駅に向かう営団地下鉄(現東京メトロ)の日比谷、千代田、丸ノ内の3路線5車両内で、新聞紙で包んだビニール袋を傘で突き刺し、猛毒のサリンを散布した。闘病の末に亡くなった女性を含め乗客と駅員計14人が死亡し、負傷者は6000人以上に上った。教団による一連の事件では、松本元死刑囚ら13人の死刑が確定し、2018年7月に全員の刑が執行された。

毎日新聞

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