「教訓をつなげたい」 福岡沖玄界地震から20年 離島で防災訓練

2025/03/20 17:20 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 福岡市などで最大震度6弱を記録した2005年の福岡沖玄界地震は20日、発生から20年となった。約7割の家屋が全半壊するなど大きな被害を受けた玄界灘の離島・玄界島(同市西区)では市主催の防災訓練があり、陸上自衛隊や警察など15の関係機関、地元住民ら約360人が参加した。

 訓練は午前10時、博多湾から市中心部を抜ける活断層「警固断層帯」の南東部を震源とするマグニチュード7・2の地震が発生したと想定。防災無線のサイレンが鳴った後、ヘルメットをかぶった島民らは津波に備えて島南部の高台に避難。玄界地震の発生時刻の午前10時53分には一斉にかがんで頭を守る姿勢を取った。

 孤立地域で通信が途絶した事態を想定した訓練では、通信機器を載せた物資搬送用の小型無人機(ドローン)を玄界島の対岸から飛ばし、島内で通信環境を復旧させる手順を確認した。

 温かい食事の提供など、市が進める避難所の環境改善に向けた取り組みの一環で、対岸のキッチンカーで調理された料理をヘリコプターで運搬し、現場での炊き出しのカレーライスと共に提供する試みもあった。

 視察した福岡市の高島宗一郎市長は「離島は支援が届くまでに時間がかかる場合もあり、普段から顔の見える関係性で訓練を重ねることが大事だ」と強調。玄界校区自治協議会会長の井上公加さん(70)は「地震後に生まれた小中学生らも訓練できてよかった。地震の教訓をつなげていきたい」と話した。【竹林静】

 ◇福岡沖玄界地震

 2005年3月20日午前10時53分ごろに発生した、福岡市北西沖を震源とするマグニチュード7・0の地震。福岡、佐賀両県内で震度6弱を観測した。死者1人、重軽傷者1200人以上で、144棟が全壊、約9700棟が半壊・一部損壊するなどした。

毎日新聞

社会

社会一覧>