熊本のTSMC工場、処理水放出の河川でフッ素化合物濃度が上昇

2025/03/26 15:59 

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 熊本県内での半導体関連企業の集積に伴い、地下水の水質などの環境変化を専門家が検証する「環境モニタリング委員会」が26日あり、工場の処理水が放出される河川で有機フッ素化合物の濃度が増したことが明らかになった。委員会は「工場稼働との因果関係が認められる」と指摘した。

 同委員会は県環境センター館長・篠原亮太氏を委員長に、化学物質や金属類の研究を専門とする学識経験者で構成。県民からの環境への影響を不安視する声を受け、菊陽町で半導体製造世界大手の台湾積体電路製造(TSMC)の工場立地したことに伴い、法規制外の化学物質などを解析する目的で2024年2月に発足した。

 今回の会合は、24年末にTSMC工場が本格稼働してから初開催。県環境保全課が、地下水と河川の水質や、大気中の化学物質などの濃度について、地下水では変化はなかったが、県北を流れる坪井川で有機フッ素化合物の一種であるPFBS、PFBAの濃度増加を説明した。いずれも水質汚濁防止法などの規制外ではあるものの、工場を運営する子会社「JASM」が使用する物質であるとして、篠原委員長は「何らかの企業努力を促すよう、行政がお願いベースで求めていくべきでは」などと指摘した。

 県の担当者は、規制外を理由に慎重な判断が求められるとして「今後データが集まった上で、健康へのリスク面も踏まえて対応を検討したい」と述べるにとどまった。【山口桂子】

毎日新聞

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