南海トラフ地震 鉄道被害は最大1.8万カ所、5空港で津波浸水

2025/03/31 15:02 

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 東海沖から九州沖を震源域とする「南海トラフ巨大地震」について、国の有識者会議は31日、最悪の場合は直接死が29万8000人、全壊・焼失建物が235万棟に上るとする新たな被害想定を公表した。発災時の市民生活や企業活動の継続に不可欠なインフラ企業はどう対応するのか。

 鉄道は、線路や路盤など約1万3000カ所で被害が発生すると想定され、揺れによる被害が最大のケースでは1万8700カ所まで拡大する可能性もある。新幹線は約210カ所での被害が想定される。

 日本の大動脈である東海道新幹線(東京-新大阪)を運行するJR東海は2009年、地震時に車輪の脱線を防ぐ器具「脱線防止ガード」をレールに設置する工事を始め、24年度末までにレール1075キロ中約887キロ分が完了した。28年度中の全線設置を目指す。

 沿線や遠方で発生した大規模な地震を検知して新幹線を停止するシステムは、19年から海底地震観測網の情報利用を始め、検知を早期化するなど改良してきた。

 24年8月の南海トラフ地震臨時情報では、一部区間で速度を落として運行を継続した。同社は「事前に定めていた社内規定にのっとり、適切に運用できた。今後も新たな知見や技術を踏まえ、必要に応じて対応を見直していく」としている。

 また空港は、中部国際▽関西国際▽高知▽大分▽宮崎の5空港で津波による浸水が発生し、高知空港と宮崎空港では敷地の半分以上が浸水すると想定される。

 ターミナルビルはいずれも倒壊などの恐れは少なく、管制塔も機能継続が可能と見込まれているが、滑走路の液状化被害の可能性が高い空港もある。

 24年1月の能登半島地震を踏まえ、国は空港を災害時の広域的な救援・物資輸送等の拠点として位置づける。各空港は災害時の早期復旧が求められており、耐震化や浸水対策を進めている。【大原翔、佐久間一輝】

毎日新聞

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