沖縄市での日米合同パトロール 「パフォーマンスに近い印象」も

2025/04/19 16:53 

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 沖縄県で米兵の性暴力事件が相次いだことを受け、在沖縄米軍と県警などは18日夜から19日未明にかけ、米軍嘉手納基地に近い沖縄市の歓楽街で「日米合同地域安全パトロール」を実施した。県警によると、米軍との合同パトロールは1974年以降は実施していなかった。県や沖縄市、外務省沖縄事務所、防衛省沖縄防衛局、地元自治会なども参加し、犯罪の検挙よりも抑止や防犯意識の向上を目的とした実質的な「パレード」の形式となった。

 合同パトロールは、2024年6月に米兵による性暴力事件が相次いで発覚したことを受け、在日米軍司令部が翌7月に実施の意向を表明。県警側は、合同パトロール中に米軍関係者による犯罪が起きた場合、日米地位協定の運用上、原則的に容疑者の身柄を米軍側に引き渡さなければならないとして慎重な姿勢を示していたが、協議の結果、沖縄市が実施している夜間の防犯パトロールに関係機関が参加する形で折り合った。

 合同パトロールには玉城デニー知事や米海兵隊太平洋基地司令官のブライアン・ウォルフォード少将らも参加。18日午後10時ごろから19日午前2時過ぎまで、約120人が3グループに分かれ、米軍関係者向けの飲食店やクラブが並ぶ「ゲート通り」や周辺を回った。米軍は基地外での行動指針「リバティー制度」を定め、原則的に午前1~5時に飲酒することを禁止している。19日午前1時を過ぎ、米軍の憲兵らが米兵とみられる若者に帰宅を促したり、手に持っている酒を捨てさせたりする場面もあった。

 今後、犯罪の抑止に実効性のある形で日米の合同パトロールが続くかは不透明だ。米兵による性暴力事件に抗議する県民大会を24年12月に開催した県女性団体連絡協議会の伊良波(いらは)純子会長は、今回の合同パトロールについて「防犯意識を高める取り組みに意義がないわけではない」と一定の理解を示しつつ、「パフォーマンスに近い印象も受ける」と話した。

 米軍関係者による事件の再発防止策として、在日米軍司令部は24年7月、合同パトロールの他に、在日米軍幹部と県、地域住民による意見交換の場として新たな「フォーラム」を創設すると発表したが、いまだ開催されていない。県警によると、県内で米軍関係者が刑法犯で検挙された事案は25年も、過去20年で最多だった24年(73件80人)とほぼ同じペースで推移している。【比嘉洋、喜屋武真之介】

毎日新聞

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