被爆者調査続けて半世紀 転換期迎える放射線影響研究所
原爆放射線による健康への影響を調査するため、日米が共同で運営し、広島、長崎両市に拠点を置く「放射線影響研究所」(放影研)が4月、発足から50年となった。放影研の前身で米国が設立した原爆傷害調査委員会(ABCC)は、「調査すれども治療せず」として被爆者らからの批判が少なくなかった。原爆投下から80年。「被爆者なき時代」が近づく中、放影研は転換期を迎えている。
ABCCは1947年、原爆の人体への影響を長期的に調べるため、米大統領の指示で設立された。被爆者から集めた血液などの生体試料やデータは米国が保管。研究に専念してほとんど治療をしなかったことから、被爆者は「モルモット扱いするのか」と反感を募らせた。米国の経済状況の悪化などを背景に75年、日米で共同運営する公益財団法人の放影研に改組した。
広島市と長崎市に研究所があり、職員数は現在、計約180人。2025年度の運営費は日本側が約46億円、米国側が約19億円を拠出している。
約231万点に上る生体試料は巨大な冷凍庫などで保管され、被爆とがん発症率の関係などを調べている。研究結果は、国際放射線防護委員会(ICRP)による放射線の健康リスク評価の基礎データにもなっている。
放影研によると、これまでに調査対象となった被爆者や被爆2世らは延べ約24万人。現在は広島と長崎で被爆者約2万人、被爆2世約1万3000人に対して定期的に問診や健康診断をしている。
新たに準備を進めているのが被爆2世のゲノム(全遺伝情報)解析だ。定期的に放影研に血液を提供してきた被爆2世580人とその親を対象に実施し、親の被爆が子のDNAにどのような影響を与えるかを調べる。「究極の個人情報」とされるゲノムの取り扱いなどについて現在、外部の有識者を交えて検討を進めている。
一方で、複雑な思いで調査の行方を見守る被爆2世もいる。母親が10歳の時、爆心地から約2・5キロで被爆した広島県被爆二世団体連絡協議会事務局長の角田拓さん(61)=広島市=は19年、姉を肺がんで亡くし、母の被爆の影響が頭をよぎったという。「期待はあるが、被爆の影響の有無が科学的にどこまで分かるのか、不安もある」と語る。
さらに放影研はハード面でも転換期を迎えている。本部がある広島研究所(同市南区)の米軍兵舎を転用した建物は老朽化が進む。長年、懸案となっていたが26年度、広島大霞キャンパス(同区)に完成する10階建て施設(延べ7700平方メートル)に移転することが決まった。【安徳祐】
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