万博開会式のテレビ中継で手話通訳なし 当事者団体が表示要望

2025/04/28 20:12 

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 大阪・関西万博の開会式のテレビ中継に手話通訳がなかったことを受け、聴覚障害の当事者団体などが政府や日本国際博覧会協会(万博協会)、NHK、日本民間放送連盟(民放連)に対し、国民的な重要行事のテレビ放送に手話通訳を表示するよう求めている。

 要望しているのは、聴覚障害者の情報格差の解消に取り組むNPO「インフォメーションギャップバスター」と手話推進議員連盟。28日には東京・永田町の国会議員会館で各党議員に要望書を手渡した。要望書は14日に政府やNHKなどにも郵送などで提出しており、NHKからは「生放送時に手話を付ける体制がまだ十分ではない。要望を受け止め、ユニバーサルサービスの拡充に努める」などと回答が寄せられたという。

 2021年の東京五輪の開会式でもテレビ中継の手話通訳がなく、要望活動の結果、五輪の閉会式やパラリンピックの開閉会式で手話通訳が付けられた。

 同連盟の永野裕子代表世話人は「(万博の開会式で手話通訳がなく)後退してしまった印象を受けた。聞こえない人にとって手話は第一言語で、言語の保障は人権の問題だ」と強調。聴覚障害のある同NPOの伊藤芳浩理事長は要望活動の中で「日本では手話が言語としてまだまだ認識されておらず、手話通訳がないことに問題意識を持つ人も少ない。東京五輪から後退せずにもう一度進めてほしい」と訴えた。【田中綾乃】

毎日新聞

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