犬猫の保護活動に取り組む元阪神・秋山拓巳さん 高知の施設視察

2025/05/01 07:45 

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 プロ野球・阪神タイガースの投手として活躍してきた秋山拓巳さん(34)が、動物専門の寄付サイトを運営する公益社団法人「アニマル・ドネーション」(東京都港区)のアンバサダーに就任し、犬や猫の保護活動に取り組んでいる。その一環として、高知県南国市のペットショップ兼保護施設「アシスト南国」を訪問し、保護された犬や猫の状態などを確かめながら施設を視察した。

 秋山さんは香川県丸亀市出身。愛媛県立西条高校時代は甲子園に出場し、2010年にドラフト4位で阪神に入団。先発投手として二桁勝利を3度記録するなどチームに貢献し、昨季限りで引退した。通算成績は49勝44敗。

 現役時代にニュースで保護された犬や猫が多くいることを知り、何かの力になりたいとの思いから社会貢献活動として、動物保護団体に寄付を行ってきた。愛犬家でもあり、雌のマメシバ「でこまる」と一緒に暮らしているという秋山さんは「家に帰ったら癒やされ、また元気になって、次の日を迎えさせてくれる大切な存在。動物と一緒に暮らすって良いことなんだと多くの人たちに発信していきたい」と話す。その上で、「テレビ番組などでは、おびえた犬や猫が可哀そうに映されているが、保護された動物が全てそうというわけではない。ネガティブなイメージを払拭(ふっしょく)し、保護された犬や猫をちゃんと、家族として迎え入れたいという人たちを増やしていきたい」と語気を強めた。

 ◇「アシスト南国」の取り組み

 視察したアシスト南国は、悲しい殺処分などに対する動物愛護意識の高まりを受け、22年に方針を転換。従来の犬猫の展示販売を中止し、保護された犬猫の譲渡スペースを設けて保護団体に使ってもらう業態に移行した。24年7月からは、高知市の県中央小動物管理センターなどから引き取った最大5匹までの保護犬を収容できる飼育展示施設を設置し、飼い主の希望者と引き合わせている。

 視察した4月24日は、保護犬の譲渡促進を促す県の活動「命のバトンタッチ」に基づき、2月25日に保護された推定4歳の雌の雑種犬「かやちゃん」が運ばれてきた。県薬務衛生課によると、かやちゃんは職員が命名。人間に慣れている様子で、大勢の人の前でも静かにしていた。逃げ出したのか、飼い主から捨てられたのかは分からないという。秋山さんは不安がらないように優しく接していた。

 飼育展示施設では、秋山さんは収容されている保護犬の特徴などをスタッフに質問し、写真にも収めていた。ドッグランでは、ボールやおもちゃを投げると、保護犬たちは大喜びで取りに行き、秋山さんと楽しそうに遊んでいた。

 環境省の統計では、高知県内で収容・殺処分された犬と猫は、10年度の犬882匹、猫4409匹から年々減少しているものの、23年度は犬9匹、猫257匹となっている。

 視察を終えた秋山さんは「このような保護施設があることを多くの人たちに知ってもらい、迎え入れる選択肢の一つにしてもらいたい」と話していた。【行方一男】

毎日新聞

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