「憲法9条の碑」除幕式 「平和の理念受け継ぐシンボルに」 北九州

2025/05/03 21:33 

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 憲法9条の条文を刻んだ石碑「憲法9条の碑」が北九州市小倉北区に完成し、3日に除幕式があった。市民有志らが結成した「北九州市に憲法9条の碑をつくる会」(前田憲徳会長)が募金への協力を呼び掛けて建立。関係者ら約200人が参加し、戦争のない平和な世界を祈った。

 碑が建てられたのは、太平洋戦争当時、西日本最大の兵器工場だった「小倉陸軍造兵廠(しょう)」があった場所。現在は公益財団法人・健和会の所有地で、かつて武器や爆弾を作った場所を平和の発信地にしようと企画した。

 碑は台座を含め高さ1・6メートル、幅1・1メートル。デザインは一般公募し、大手町リハビリテーション病院(小倉北区)の言語聴覚士、岡部由美子さん(40)の案が採用された。数字の9と心臓や愛を表すハートの形を組み合わせたデザインで、幅広い年代に読んでもらおうと条文にはルビが振られた。

 前田会長は「今年は戦後80年。この間、自衛隊が戦争に参戦しなかったのは憲法9条が歯止めになったからだ。9条の碑が平和の理念を受け継ぐシンボルになることを願う」とあいさつした。

 戦時中、旧小倉市(現北九州市)で空襲を経験した室田美津香さん(89)は「海外のニュースを見ていると『いいかげんにしろ』と言いたくなるような戦争をしている。日本は9条のお陰でここまできた。平和のありがたさを感じながら一日一日を大事に生きたい」と話した。

 「非戦の誓い 『憲法9条の碑』を歩く」の著書がある元朝日新聞記者のジャーナリスト、伊藤千尋さん(75)によると「9条の碑」は海外の3基を含め62基目。【松本昌樹】

毎日新聞

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