福岡中3自殺 第三者委いじめ因果認定 学校「組織として機能せず」

2025/05/09 19:38 

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 福岡県田川市で2024年4月に市立中3年の男子生徒(当時14歳)が自殺した問題があり、市教育委員会は9日、市教委が設置した第三者委員会による調査報告書を公表した。報告書は加害生徒のグループが繰り返した悪口を「いじめ」とし、自殺との因果関係を認定。学校側の対応を「組織として機能していない」と指摘した。

 報告書によると、2年生だった23年6月下旬ごろから、男子生徒と仲の良かった友人グループに、本人のいないところで「くさい」などと悪口を言われ、同学年の他のクラスにも広がった。男子生徒は次第に孤立し、11月ごろから休みがちになり、24年1月には不登校になった。3年生の始業式だった4月5日に登校せず、亡くなっているのを保護者が発見した。

 男子生徒の欠席日数は、いじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」の認定の目安となる年間30日を大幅に上回っていたが、学校側は男子生徒が亡くなるまで重大事態と認定せず、市教委に報告していなかった。また、男子生徒の保護者は23年11月中旬、担任に「くさいと言われている」などと相談したが、担任は「からかい」と捉えて他の教員らと共有せず、校長らは生徒が自殺するまで事態を把握できなかった。

 報告書は、男子生徒が「裏切られた」と感じたなどとして、悪口をいじめと認定。強い孤立感などから「精神的に追い詰められ自ら命を絶ったと推測される」とし、いじめと死亡に因果関係があると結論付けた。

 学校の対応については、23年度の学校統合で大規模校になり「教員が日々の生徒指導事案に追われ」るなどした中、組織として問題をフォローできていなかった点を非難した。

 市教委は第三者委の報告内容を、25年3月末に男子生徒の保護者に伝えたという。小林清教育長は9日の記者会見で「調査結果を重く受け止めている。生徒が亡くなり、申し訳なく思っている。このような事案が二度と起こらないように施策の充実を図っていきたい」と話した。【出来祥寿】

 ◇相談窓口

・24時間子供SOSダイヤル

 いじめやその他の悩みについて、子どもや保護者などからの相談を受け付けています。原則として電話をかけた所在地の教育委員会の相談機関につながります。

 0120・0・78310=年中無休、24時間。

・子どもの人権110番

 「いじめに遭っている」「家の人に嫌なことをされる」など、先生や親には話しにくい相談に法務局の職員や人権擁護委員が応じます。

 0120・007・110=平日の午前8時半~午後5時15分

・まもろうよ こころ

 さまざまな悩みについて、LINEやチャットで相談を受けている団体を紹介する厚生労働省のサイトです。年齢や性別を問わず、自分に合った団体を探せます。

・こころの悩みSOS

 悩みを抱えた当事者や支援者への情報のほか、相談機関を紹介した毎日新聞の特設ページです。

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