国立大病院、6割が赤字 前年度を大幅に上回る 24年度決算

2025/05/09 21:32 

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 国立大学病院長会議は9日、全国42国立大病院の2024年度の収支決算(速報値)を発表した。全体の6割にあたる25病院が赤字となり、赤字総額は前年度(26億円)を大幅に上回る213億円となった。国立大病院は23年度の経常損益で04年の国立大学法人化以降初めての赤字となったが、さらに経営が悪化している状況が浮かんだ。

 発表によると、赤字額が増えた要因は、物価やエネルギー価格の高騰、働き方改革による人件費の増加。診療報酬の改定により全体で111億円の増収となった一方で、支出のうち人件費が284億円増とかさみ、増収分を上回ったという。

 診療数を増やすとそれに伴い医薬品費や医療費が高額になるため、病院長会議によると、現状は「高度な医療をやればやるほど赤字になる」状態という。

 国立大病院を巡っては、人件費や物価などの高騰を増収分で賄えない状態が続いており、25年度も同様の傾向という。付属病院を持つ国立大の病院の収益は6割程度といい、こうした状況が続くと本体の大学の経営にも影響が出るとみられる。

 記者会見した大鳥精司会長(千葉大医学部付属病院長)は「病院の経営が崩壊すると法人自体が潰れる」と危機感を示した。

 北海道大病院の南須原康行病院長は「トイレの(使用後は)ふたをするなど、1円でも節約するために血のにじむような努力をしている」と苦境を訴えた。【木原真希】

毎日新聞

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