こうのとりのゆりかご18年 「母子を保護した後」の対応、なお課題
熊本市の慈恵病院が全国で初めて運用を始め、親が育てられない乳幼児を受け入れてきた「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)は10日で開設から18年を迎える。赤ちゃんの遺棄や殺人を防ぐセーフティーネットとして理解が広がった一方、蓮田健(たけし)院長は「赤ちゃんを保護した後」の対応に課題があると語る。より良い仕組みへの模索は続いている。
蓮田氏らは8日、病院内で記者会見して現状を説明した。
親が匿名でも預けられることから、開設時は「捨て子を助長する」と批判も強かったゆりかご。だが2024年3月末までに、179人の乳幼児が無事に保護された。
蓮田氏は「(開設)当時に比べると、社会からご理解を得られるようになった」と、この間の変化を語る。親の匿名性には今も根強い異論があるが、「それを尊重しなければ、(危機的状況にある)女性たちは近づいてくれない」と訴える。
道半ばとなっているのが母子を保護した後の対応だ。
課題の一つは、預けられた子どもが特別養子縁組や里親による家庭的な養育環境に移るのに期間を要していることがある。病院で一定期間過ごした後、すぐに家庭に移るのが理想だが、行政を通じてまず乳児院などの施設に引き取られるケースが多く、愛着形成への影響が懸念されている。
さらに病院を離れた後の子どもらの長期的な成長のフォローも現状は十分ではない。18年間の中では、親が自ら育てると翻意して引き取ったものの、虐待死につながった事例も2件起きている。
蓮田氏は「赤ちゃんが幸せに、自己肯定感高く育ってくれるかを見守っていかないといけない」と強調。こうした課題への対応には病院だけでは限界があり、行政へ働きかけるなどして改善を探る考えを示した。
一方、長年の懸案に今年、動きも見られた。預けられた子どもの「出自を知る権利」を巡っては、病院と熊本市による検討会が3月に対応方針をまとめた。病院ではこれを基に具体的な運用指針作りを進めており、5月中には情報開示などのルールが整う見込みだ。
開設から18年となり、病院は既に当事者の子どもらから出自に関する問い合わせを受けるようになっている。蓮田真琴・新生児相談室長は「出自に関する情報は一人一人求めるものが違う。その気持ちを大切にして関わっていきたい」と話した。
◇LINE相談を開始
慈恵病院は8日、妊娠に悩む女性らの相談窓口に、スマートフォンの通信アプリ「LINE」を追加した。病院のホームページから接続できる。従来のメールや電話相談と同様、24時間態勢で受け付けている。【中村敦茂】
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