名人戦第3局 3連勝の藤井名人「千日手打開は考えず」 3連覇へ王手

2025/05/10 20:54 

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 藤井聡太名人(22)に永瀬拓矢九段(32)が挑戦し、大阪府泉佐野市のホテル日航関西空港で9日から指されていた第83期名人戦七番勝負の第3局(毎日新聞社、朝日新聞社主催、大和証券グループ協賛、泉佐野市など地元共催)は10日午後7時28分、藤井名人が永瀬九段に102手で勝ち、3連勝で3連覇に王手をかけた。持ち時間各9時間のうち残り時間は永瀬九段43分、藤井名人38分。第4局は17、18の両日、大分県宇佐市の宇佐神宮で行われる。

 1日目は、最近のタイトル戦では珍しい相矢倉戦になり、千日手の可能性を残して封じ手となった。藤井名人の封じ手4四銀引から2日目の対局が始まった。藤井名人の5五銀(54手目)で4手前と同じ局面に戻ると「千日手になるかも」と検討室は色めき立った。

 しかし永瀬九段は38分考えて7九角(55手目)と千日手を回避すると、5八歩(57手目)、9八歩(67手目)と辛抱の手を重ね、反撃のチャンスをうかがう。

 着々とポイントを重ねた藤井名人は3八歩(74手目)からと金を作って優位を広げにいくと、6四歩(82手目)~6五歩(88手目)と厳しく敵陣に迫り、そのまま勝負を決めた。

 解説の稲葉陽八段は「6四歩は見えづらい手ですが、急所を突いていて全ての駒が攻めに働き、指されてみればなるほどという手。3八と(78手目)からの寄せの組み立ては見事で、藤井名人の視野の広さが表れました」とたたえた。【丸山進、最上聡】

 ◇藤井名人「距離感難しかった」

 相矢倉はかなり久しぶりなので距離感が難しかった。封じ手局面はあまり自信がなく、千日手の打開はあまり考えていなかった。6四歩~6五歩が速い攻めになるので指しやすくなった可能性はあると思った。

 ◇永瀬九段「主導権握れず…」

 相矢倉にするのは自然だと思ったが早い段階で力戦っぽくしてしまい、先手番で勝てていない要因が何個か見えた気がする。2日目は千日手にすべきだった。主導権が握れず、面白くない将棋にしてしまった。

 ◇指し手 [先]永瀬 [後]藤井

<1>2六歩  (2)3四歩

<3>7六歩  (4)4四歩

<5>2五歩  (6)3三角

<7>4八銀  (8)8四歩

<9>3六歩  (10)3二金1

<11>6八玉6 (12)5二金1

<13>5八金右6(14)6二銀2

<15>7七角6 (16)5四歩1

<17>3七銀33 (18)8五歩5

<19>8八銀6 (20)4三金右1

<21>7八玉3 (22)4二角2

<23>6八角1 (24)2二銀1

<25>7七銀  (26)3三銀1

<27>5六歩1 (28)7四歩

<29>6六歩  (30)9四歩2

<31>9六歩27 (32)4一玉7

<33>6七金1 (34)3一玉5

<35>3五歩41 (36)同 歩17

<37>同 角  (38)4五歩

<39>6八角8 (40)6四角3

<41>1八飛10 (42)5三銀35

<43>4六歩31 (44)4四銀右36

<45>4八飛5 (46)4六歩53

<47>同 角14 (48)5五歩4

<49>同 歩17 (50)同 銀48

<51>3五角8 (52)4四銀引40=封じ手

<53>4六角14 (54)5五銀16

<55>7九角38 (56)5六歩25

<57>5八歩16 (58)4四歩9

<59>1六歩10 (60)2二玉15

<61>1五歩2 (62)9五歩29

<63>同 歩4 (64)9六歩2

<65>1八飛38 (66)9五香

<67>9八歩  (68)4五歩18

<69>1六飛3 (70)7三桂15

<71>6八角15 (72)5二飛19

<73>4六歩34 (74)3八歩32

<75>7五歩25 (76)3九歩成9

<77>1七桂18 (78)3八と7

<79>3六銀  (80)7五角

<81>4五歩1 (82)6四歩5

<83>2四歩11 (84)同 歩7

<85>2三歩18 (86)同 金3

<87>3五角  (88)6五歩14

<89>7一角成9(90)6六銀

<91>6八金引7(92)4八と11

<93>6一馬4 (94)5三飛

<95>6六銀5 (96)同 歩

<97>6二馬  (98)5八と1

<99>同金上  (100)5七歩成

<101>同金直  (102)6七銀

 ―――1

 まで藤井名人の勝ち

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