「性被害と同等の問題」訴える声 「エロ広告」実態調査で

2025/05/10 17:00 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 インターネット上の性的な広告、いわゆる「エロ広告」について、子育て当事者の市民団体が9日、実態を把握し、分析するためのアンケート調査の結果を公表した。エロ広告が無防備に表示される現状について、とりわけ子どもや女性に対する配慮が欠けているとされ、強い危機感を訴える声が多く寄せられた。

 調査は市民団体「みらい子育て全国ネットワーク」(天野妙代表)が実施した。3月22日~4月5日、オンライン上のアンケートフォームで回答を呼びかけ、18歳以上の1970人から回答を得た。回答者の8割は女性で、30代、40代が回答者の7割を占めた。質問はいずれも複数回答が可能。

 「どのようなサイトでエロ広告が表示されるか」では、ゲーム攻略サイト(1100人)▽個人のブログ(1038人)▽SNS(交流サイト)(1016人)▽ニュースサイト(907人)▽レシピサイト(308人)▽ショッピングサイト(302人)――の順だった。

 「表示される広告の種類」では、漫画(1733人)が特に多く、ゲーム(1096人)▽出会い・マッチング(699人)▽動画・ライブチャット(552人)――と続いた。

 回答者は「エロ広告」への対策を行っているのだろうか。回答者のうち、64・5%が「何らかの対策を行っている」とした。

 内訳は、広告ブロックツール・ブラウザーを導入する(784人)▽そのウェブサイトを見ないようにする(682人)▽広告事業者やサイト事業者に苦情を伝える(365人)などだった。

 「今後行われるべき対策は何か」との質問では、「広告業界による自主規制ルールの設定とその徹底」(1744人)が最多で、「国による広告の規制」(1505人)、「広告ブロックツール・ブラウザーの推奨」(822人)が続いた。

 「広告事業者や行政に対するメッセージ」を自由記述方式で聞き、AI(人工知能)を用いて回答の傾向を解析したところ、多かったのは「性的広告の社会的影響に関する懸念」(680件)だった。

 具体的には「性的広告が無防備に表示されることを性被害と同等の問題と感じ、特に未成年者や女性に対する配慮が欠けている現状に強い危機感を抱いている」「性的広告の社会全体の価値観や倫理観に与える影響について懸念があり、規制や適切な表示基準の必要性がある」などが訴えの趣旨だった。

 同団体は「アンケートの結果から、いわゆるエロ広告は多種多様なウェブサイトに掲載されており、この中には、全年齢に向けたサイトも多く含まれると分かった。これらの調査結果をもとに、広告の業界団体や行政機関、政治家に課題意識を持っていただくとともに、何らかの対応を求めていくというアクションを行っていく」としている。【町野幸】

毎日新聞

社会

社会一覧>