「明確な理由なく生活保護停止」 受給者が鳥羽市を提訴 三重

2025/05/14 19:36 

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 明確な理由を示さないまま生活保護の支給を停止したのは違法だとして、国指定の難病を患う三重県鳥羽市の生活保護受給者(70)が市を相手取り、支給停止処分の取り消しを求めて津地裁に提訴した。提訴は9日付。

 訴状によると、原告は2020年ごろ、国指定の難病・類天疱瘡(るいてんぽうそう)を患った。ペットボトルのふたを開けられないほど握力が落ちたため仕事を辞め、年金もわずかしかなかったことから23年8月ごろに申請して生活保護を受け始めた。

 ところが鳥羽市から25年3月7日付で、支給の停止を示唆する文書が届き、同21日に弁明の機会が与えられた。原告は口頭で「仕事がしたい。面接に行く上でも、仕事をする上でも車がなければ移動ができない」と訴えたが、市は同24日付で、生活保護法の条文だけを記載して支給を停止する決定の通知書を交付した。

 原告の手元に3月7日付文書が残されていないため詳細は不明。だが、4月16日付で「保有している自動車を処分し、処分したことが分かる書類の提出を」と指示する文書が出されていることから「車の使用」を巡る処分とみられる。

 原告側は「処分理由に具体的な事実関係が全く記載されていないという不備がある上、明示された条文にも誤記がある可能性が高い」と主張。「処分には手続き上の違法がある」としている。

 鳥羽市は「訴状が届いていないのでコメントは差し控える」としている。【渋谷雅也】

毎日新聞

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