障害年金 新規申請に「不支給」が前年比1.5倍 精神障害で多く

2025/06/11 20:10 

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 厚生労働省は11日、障害のある人が受け取る障害年金について、新規の申請に対する不支給の割合が2024年度は13・0%と、前年度に比べ約1・5倍だったとするサンプル調査の結果を発表した。精神障害は他の障害に比べて、不支給の増加割合が大きかった。

 24年度の新規申請1000件、再認定1万件を抽出して調査した。不支給か支給停止となった235件については、審査書類などを個別に確認した。実務を担う日本年金機構の審査担当の職員や認定医へのヒアリングも実施した。

 障害年金は、申請者の主治医が書いた診断書などの書類を基に、日本年金機構の認定医が審査する。審査は障害認定基準やガイドラインにのっとって行われる。

 調査では、精神障害の認定で、ガイドラインが定める等級よりも低く認定されるケースなどが増加していた。精神障害の不支給の75・3%を占め、前年度の44・7%から大幅に増えていた。その理由については厚労省の担当者は「一概に特定はできない」とした。

 厚労省は今後について、不支給となる場合は複数の認定医で審査する▽過去の精神障害の不支給となった事案の点検を行う――などの方針を示した。

 障害年金を巡っては、24年度に不支給が急増したとの一部報道を受け、国会で野党が調査を求めていた。報道では、年金機構の審査を担当する部署のトップの方針が不支給増加の要因と指摘されていた。これに対し、厚労省は「『審査を厳しくすべきだ』といった指示は確認できなかった」と説明した。【寺原多恵子】

毎日新聞

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