質の高い論文への貢献度ランキング、中国躍進 東大・京大は過去最低

2025/06/14 11:00 

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 国際科学誌ネイチャーを発行する学術出版大手シュプリンガー・ネイチャーは11日、自然科学分野で質の高い研究論文への貢献度ランキングの2025年版を発表した。研究機関別では上位10機関のうち8機関を中国が占め躍進する一方、日本では東京大が23位(前年21位)、京都大は55位(同47位)と、いずれも過去最低に沈んだ。

 ランキングは同社傘下の調査機関が14年から毎年公表している「ネイチャーインデックス」。物理学▽化学▽生物科学▽地球環境科学▽健康科学――の5分野で、24年に世界の著名な学術誌145誌で掲載された論文を調べ、著者の所属する研究機関や国をカウントした。

 23年から対象に健康科学の分野が追加されたため単純比較はできないが、京都大がトップ50から外れたのは初めて。東京大と共に過去最も低い順位となった。国内勢は大阪大103位(前年70位)▽理化学研究所115位(同126位)▽東京科学大132位(同141位)▽東北大143位(同106位)――と続いた。

 世界トップは前年に続き中国科学院、2位米ハーバード大、3位中国科学技術大という並びだった。中国の論文数の伸びは大きく、浙江大が10位から4位に一気に上昇するなどさらに存在感を強めた。一方で独マックスプランク協会が4位から9位に後退するなど、欧米の複数の機関が順位を落とした。

 ネイチャーインデックスのサイモン・ベーカー編集長は「物理学や化学などの分野では、(中国が)これまで優位を占めていた欧米諸国を大きく上回った」と分析している。

 国別では1位が中国、2位が米国、3位がドイツ、4位が英国。日本は前年に続き5位で、化学分野が4位と比較的高かった。【信田真由美】

毎日新聞

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