「収容は不適切」診断の外国人を拘束→「違法」 国に賠償命令

2025/06/17 21:51 

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 入管に不当に収容されたとして、退去強制処分を受けたイランとトルコ国籍の男性2人が国に計約3000万円の賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は17日、違法な収容を認め国に計120万円の支払いを命じた。本多智子裁判長(舟橋伸行裁判長代読)は、入管には恣意(しい)的な拘禁を禁じた国際人権規約に反する対応が一部であったと判断した。

 判決によると、2人は1991年と2007年に来日した。不法残留でいずれも退去強制処分を受け、仮放免と収容を繰り返していた。それぞれうつ病や「収容は適切ではない」との診断を受けていた。

 判決はまず、国際人権規約上、身体拘束を伴う収容には、個人の自由を奪う重大性を上回る必要性が要件になっていると指摘。入管には医師の診断があったのにもかかわらず、2人の心身の状態を適切に把握しないまま漫然と収容した過失があると認定。不利益を上回るだけの必要性が認められないとした。

 2人は、裁判手続きを経ずに不法残留の外国人らの収容を入管に認めた入管法自体が国際人権規約違反だとも訴えたが、判決は収容後に仮放免の許可を求める裁判を起こせることなどを理由に退けた。

 弁護団は判決後の記者会見で「入管への収容が国際人権規約に沿わなければいけないと明示した点は画期的だが、入管法自体が不当と認められなかったのは残念」と語った。

 出入国在留管理庁は「判決内容を十分精査し、適切に対応する」とのコメントを出した。【安元久美子】

毎日新聞

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