外免切替、10月に審査厳格化へ 知識確認5倍、観光滞在で認めず

2025/07/10 10:23 

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 外国の運転免許証を日本の免許証に切り替える「外国免許切り替え(外免切替)」について、警察庁は10日、制度を見直して10月1日から審査を厳格化する方針を明らかにした。申請時に住民票の写しを求めるほか、交通ルールの知識を確認する問題を5倍の50問に増やし、通過ラインも9割以上に引き上げる。

 警察庁は外免切替の課題として、観光で来日した外国人がホテルなどの一時的な滞在場所を住所として申請できる点や、知識を確認する問題が簡単すぎるとの指摘がある点を挙げている。外免切替をした外国人による交通事故が発生していることも踏まえ、制度の見直しを検討していた。

 新制度では、住所確認を厳格化し、国籍にかかわらず申請時に住民票の写しの提出を求める。これにより短期滞在の訪日客の外免切替は認めないことになる。

 警察庁が15の国・地域の制度を調査したところ、日本のように観光目的の滞在で外免切替ができるところはなかった。

 2択形式で10問が出題される知識確認も見直し、問題数を5倍の50問に増やす。飲酒運転の禁止や事故時の対処、標識の意味など道路交通法の規定をおおむねカバーする内容に改める。さらに通過に必要な正答率を7割以上から9割以上に引き上げる。

 コースを走行してルールに合った運転ができるかをみる技能確認も改める。海外と比べ日本は歩行者と車の事故が多いことなどから、横断歩道で歩行者を優先できるかを確認する項目を追加。ウインカーを出さずに進路変更や右左折をする違反や、交差点で中央や左端に寄らずに右左折する違反の採点を、免許証の新規取得時と同じレベルで厳しく審査する。

 警察庁は「日本の交通ルールを理解していないと通過しづらい制度になる」としている。新制度は道交法施行規則の一部を改正するなどして運用するため、警察庁は11日~8月9日にパブリックコメント(意見公募)を実施する。

 警察庁によると、2024年に外免切替により免許証を取得した外国人は前年より22・5%増の6万8623人で、14年の2・7倍となった。

 日本国籍以外のドライバーによる事故は24年に7286件あり、15年と比べて8・3%増加。訪日客の増加が背景にあるとみられる。全体の事故は減少傾向の中で増加しているため、国際免許証で運転する観光客にレンタカー店で注意を促すリーフレットを配布するなどの対策が進められている。【山崎征克】

毎日新聞

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