ハンディ乗り越え挑んだ夏 地震でグラウンドに亀裂 飯田高野球部
能登半島の先端に位置する石川県珠洲市は、昨年の地震と豪雨で甚大な被害を受けた。市内で唯一の高校、県立飯田高校も野球部が使うグラウンドが地割れするなどし、今も練習に支障が出ている。選手たちはさまざまなハンディを乗り越え、全国高校野球選手権石川大会に挑んだ。【岩本一希】
大会を間近に控えた9日夕。校舎横のグラウンドではピッチングマシンを使い、選手たちが黙々と打撃練習に励んでいた。しかし、グラウンドの様子は地震前とは違う。外野は雑草が生い茂り、ライト側は数メートルに渡って地面に大きくひびが入っている。えぐれたような溝は深いところで20~30センチにも達していた。
「地震から1年半ずっとこの状態ですよ」。加瀬悠貴監督(34)はこともなげに語るが、練習への影響は小さくない。外野手の宮元晴一郎選手(3年)は「球を捕るときに(段差で)体に角度がついてしまうんですよ」とこぼす。亀裂に足を取られ、けがをする恐れもあるため、比較的被害が小さかったレフト側だけを使って守備練習をすることもあるという。
グラウンドの修復には2年はかかる見込みだ。それでも、加瀬監督は「野球がやれるだけいいのかなって。やれることをやる」と現状を受け止める。
練習環境以外にも頭を悩ませることがあった。昨夏の大会後、当時の3年生が引退し、部員が4人だけになってしまった。
秋の大会に向け、部員の少ない他校の野球部と組んで合同チームとして出る選択肢もあったが、「自分たちの代で途切れさせたくない」と、他の運動部に所属している野球経験者に「助っ人」を頼み、単独で出場した。「勝つことも大事だけど、それ以上に『飯田』として戦うことが大事だったんです」と投手の新川純冬選手(3年)は言う。
地震から1年半。新川選手は「当たり前にできていた野球ができないのが衝撃だった。現実から逃げていた時期もあった」と苦しかった時期を振り返る。不満ややるせない気持ちを部員同士で口にしたことも。宮元選手は転校を考えたこともあったという。「設備が整っているチームをうらやんだり、『何で自分たちだけが』と思ったりもした」
◇転機は新入部員
それでも今春、新入部員が9人入ったことで、選手たちの気持ちが変わった。責任感も芽生え、後輩に弱音を吐くことはなかった。
大会に向け、打撃に力を入れてきた飯田ナイン。トーナメントの同じブロックには、星稜や日本航空石川といった強豪校がひしめく。宮元選手は「こんな環境でも勝てる、努力次第で変わるんやよってことを、珠洲の子たちに見せてあげたい」と力を込める。
昨春就任し、この1年間チームを指導してきた加瀬監督は、地震を経て選手たちが大きく成長したことを感じていた。昨夏は、地震の影響をはねのけ、2勝を挙げて16強。今夏は3回勝って8強に進むことが目標だ。
この日の練習が終わり、加瀬監督が集まった選手たちの顔を見渡して声を掛けた。
「お前たちならできる。自信を持ってやろう」
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