ヒグマ襲撃で男性死亡 専門家が現地調査、体毛と足跡確認 北海道

2025/07/14 19:57 

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 北海道福島町の住宅街で新聞販売店従業員の男性(52)がヒグマに襲われた死亡事故を受け、道立総合研究機構の専門家らが14日、現地周辺を調査し、体毛や足跡を確認した。道警は24時間態勢で警戒を続けているが、男性を襲ったヒグマは見つかっていない。

 道総研は事故現場やヒグマが出没した計7カ所を調査。3カ所で採取した体毛のDNA型鑑定を進める。少なくとも2頭の足跡も確認した。

 町内では13日午後9時10分ごろ、事故現場から約600メートル離れた場所で警察官がヒグマを目撃。山の茂みに入り、見失った。男性を襲ったヒグマと同一個体かは不明。14日には付近のスーパーのゴミ箱が荒らされていた。

 道警によると、男性を襲ったヒグマの体長は1~1・5メートル。目撃されたヒグマは大きさが異なり、複数のヒグマが目撃されている可能性がある。道総研は「ヒグマを誘引しないようゴミの管理などが必要」としている。

 目撃地点は小中学校と近く、14日から保護者らが車で子どもたちを送迎している。近くに住む団体職員の女性(42)は「子どももヒグマを怖がっていて、外で遊べないのはかわいそう。送り迎えも長引くと大変」と話した。

 道警によると、ヒグマによる2025年の人的被害は、4月に美唄市の山林で男性ハンター(当時76歳)が襲われて顔や腕に重傷を負って以来、福島町の住宅街で襲われた新聞販売店従業員の男性が2人目となった。

 死者が出たのは、23年10月に福島町の大千軒岳で死亡した男子大学生(当時22歳)以来、約1年8カ月ぶり。この時のクマは10月29日以降に大学生を襲い、さらに10月31日に男性消防士3人を襲ったが、ナイフで抵抗され、その刺し傷が致命傷となって死んだ。24年は1年間に3人が負傷したが、死者はいなかった。

 道警には25年、クマを目撃したとの通報が1275件(6月末現在)寄せられ、前年同期と比べて83件増えている。道は福島町にヒグマ警報(8月11日まで)、砂川市にヒグマ注意報(同7日まで)を発表し、注意を呼びかけている。【三沢邦彦、谷口拓未】

毎日新聞

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