浮島丸事件の遺骨「母国に返還を」 市民団体が要請 280柱分

2025/07/28 17:17 

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 「朝鮮人戦争犠牲者追悼会」(東京都)、「浮島丸下北の会」(青森県)、「浮島丸殉難者を追悼する会」(京都府)は28日、東京都目黒区の祐天寺に安置されている「浮島丸事件」犠牲者の遺骨280柱を母国に返還するよう福岡資麿・厚生労働大臣に3市民団体連名で要請した。今年が日韓国交正常化60周年に当たることから、今年中に外交ルートを通じて必要な協議を実施し、返還を実現するよう求めている。

 浮島丸事件は、敗戦直後の1945年8月24日に起きた。青森県から母国に帰る朝鮮人労働者らを乗せた海軍の輸送船「浮島丸」が舞鶴湾で爆発、沈没。多数の死者が出たが、死者数、爆沈の原因について諸説があり、未解明なまま時間が経過している。

 舞鶴市民でつくる「浮島丸殉難者を追悼する会」は、真の日韓友好のためには歴史的事実を解明することが欠かさせないとして、戦後80年の今年から関係者の証言の聞き取り調査を進めている。

 要請書によると、遺骨が故郷に帰ることを願っている遺族も高齢化。韓国の遺族団体代表の韓永龍さんは「遺族たちは高齢になった。親に顔向けできるよう、死ぬ前に遺骨を祖国に迎えたい」と訴え、「遺族の願いは国は異なっても同じ人間として感じる共通の願いだ」としている。

 3団体は2022年にも、人道的観点から遺骨返還を早期に実現するために外交ルートを通じて必要な協議をするよう厚労相(当時)に要請している。【塩田敏夫】

毎日新聞

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