小中学生の学力調査、3年前より得点低下 コロナ影響か 24年度

2025/07/31 17:00 

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 年度をまたいだ比較が可能な小中学生の学力調査で、2024年度の結果が国語、算数・数学、英語の全ての教科で3年前の前回を下回った。文部科学省が31日に公表した調査結果で明らかになった。基礎を学ぶ時期に新型コロナウイルスが流行したことが影響しているとみられる。新型コロナによる学力への影響が国の調査で明らかになるのは初めて。

 文科省が公表したのは全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の一環として、およそ3年ごとに実施している「経年変化分析調査」の結果。本格実施は16年度、21年度に続く3回目で、24年5~6月、国公私立小中学校の小学6年生と中学3年生計約20万人を抽出し、国語、算数・数学、英語(中3のみ)を解かせた。一部が前回と同じ問題のため、年度の比較ができる。

 難易度などを加味して算出された各教科の平均スコアは、小6国語489・9(21年度505・8)▽中3国語499・0(511・7)▽小6算数486・3(507・2)▽中3数学503・0(511・0)▽中3英語478・2(501・1)――で、いずれも8~22・9ポイント下がった。

 低下の要因について文科省は、調査対象だった中3と小6が新型コロナの影響下にあった20~22年度、それぞれ小5~中1と小2~小4だった点に着目。より基礎的な内容を学ぶ学年で対面授業が減ったほか、臨時休校した場合に授業時数を減らした学校もあり、それらが進級・進学後の学習に影響した可能性があるとみている。

 特に、低下幅が最大だった英語については「(感染対策で)しゃべらないように、という方針が徹底された時期であり、授業も理想的にできる状況ではなかったのではないか」と推測した。これまで学力テストや国際学力調査では新型コロナの影響を認めていなかった。

 一方、家計の状況が学力格差を拡大させている実態も浮かんだ。家計の状況を示す指標として文科省が学力テストの質問調査で尋ねている「家にある本の冊数」とスコアとの関連を分析したところ、中3英語を除く4教科では、冊数が少ない児童生徒ほどスコアの低下幅が大きかった。中3英語は冊数にかかわらず低下した。

 家計の苦しさと子どもの学力低下の相関を裏付ける結果に、担当者は「重く受け止めている。実態を慎重に分析し、困難さに応じた指導のポイントなどを発信していきたい」とした。

 調査は保護者に対しても実施。児童生徒のテレビゲームやスマートフォンの使用時間が増加しており、時間が長いほどスコアが低下する傾向があった。【斎藤文太郎】

毎日新聞

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