英空母が横須賀に寄港 艦載機F35Bが海自の「かが」で初の発着艦

2025/08/12 15:35 

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 インド太平洋地域に展開中の英空母「プリンス・オブ・ウェールズ」が12日、神奈川県横須賀市の米海軍横須賀基地に寄港した。寄港前の日米英など6カ国共同訓練では、艦載機の最新鋭ステルス戦闘機F35Bが初めて、海上自衛隊のヘリコプター搭載型護衛艦「かが」への発着艦を実施。軍事活動を活発化させる中国を念頭に、相互運用性の高さをアピールした。

 英海軍によると、ウェールズは2019年に就役。基準排水量は6万5000トン、全長284メートルで、F35Bを最大で36機搭載可能という。英空母の日本寄港は21年の「クイーン・エリザベス」以来、2回目。

 ウェールズを中心とする空母打撃群は4月に英国を出航し、地中海やスエズ運河を経てインド太平洋地域へと航行。7月末にオーストラリアで米豪主催の多国間共同訓練に参加した後、米空母「ジョージ・ワシントン」とともに日本に針路を向けて太平洋を北上し、12日午前、横須賀基地に接岸した。

 海自によると「かが」をはじめ、英米の空母が参加した共同訓練は4~12日に西太平洋であり、英空母打撃群に加わるノルウェーとスペインのフリゲート艦のほか、豪州の駆逐艦など計14隻が、対潜水艦戦を含む各種の戦術訓練を行った。この中で、米英のF35Bによる「かが」発着艦も実施された。

 ウェールズに艦載されたF35Bが「かが」の飛行甲板に降り立つ様子は、9日に空母打撃群のX(ツイッター)で画像が公開され、海自も12日、Xで公開。海自幹部は「長年、空母を運用している英海軍からF35Bの運用も含め、ノウハウを吸収できる良い機会と位置づけている」と共同訓練の意義を説明した。

 防衛省は事実上の「空母化」に向け、「かが」と護衛艦「いずも」の改修作業を進めており、短距離離陸・垂直着陸型のF35Bの艦上運用を想定している。F35Bについては、7日から新田原(にゅうたばる)基地(宮崎県)への配備を始め、25年度中に8機の配備を完了する予定。将来的には約40機まで増強していく方針だ。【松浦吉剛】

毎日新聞

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