大阪市立中の3年生が自殺 いじめの疑いも 第三者委が影響調査

2025/08/28 05:00 

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 大阪市立中学3年の男子生徒(当時14歳)が6月に自殺し、生前に同級生らによるいじめや教師による不適切な言動を訴えていたことが、遺族や市教育委員会への取材で明らかになった。市教委は、いじめ防止対策推進法に基づく重大事態として認定し、第三者委員会の初動調査で、いじめの疑いがある複数の行為が確認された。第三者委は今後、男子生徒がいじめの影響で亡くなったかどうかや、教師による不適切な指導や学校の対応の問題点などを詳しく調べる。

 遺族によると、男子生徒は、軽度の発達障害があったものの普通学級に通っていた。中1の担任だった男性教諭の指導に問題があるとして家族が学校に相談し、中2からは担任を代えるなどの対応があった。中2の3学期ごろから、欠席しがちになっていた。家族に「先生に会うのが嫌」と訴えたり、他の生徒から悪口を言われていることも打ち明けたりしていた。男子生徒は今年6月22日夜、大阪市内の自宅で自殺を図り、搬送先の病院で死亡が確認された。遺書などはなかった。

 男子生徒が亡くなったことを受けて、いじめの有無を調べるため、学校は全校生徒を対象とした記名式のアンケートや、教員らへの聞き取りを実施。専門家らで構成する常設の第三者委も6~8月に初動調査をした。

 その結果、生徒らによるいじめの疑いが明らかになった。今年5月の体育大会で、男子生徒が同級生と砂や石を投げつけ合って口論になり、土下座をさせられたうえ、頭に足をのせられる屈辱的な出来事があった。大会後に集合写真を撮る際に、同級生から「あっちにいけ」と言われた。他の時期にも複数の行為が確認されている。

 遺族側は男子生徒が中2だった時、興奮状態になり、男性教諭に胸ぐらをつかまれ、階段を引きずり下ろされたと訴えている。学校側の調査で、男性教諭は体をつかんだ行為を認めているが、制止するためだったと説明しているという。第三者委は今後、行きすぎた指導がなかったかどうか調べる方針。

 遺族は毎日新聞の取材に「希望する進学先もあり、楽しみにしていた。重い鍋を持ったり、洗濯物をたたんだり、頼りになる子だった。何があったのか、真実を知りたい」と話した。

 一方、市教委の担当者は「いじめの疑いがあり、遺族の同意も得られたので、第三者委による詳細な調査に入る手続きを進めたい。教諭による行為は今後調べることになる」と答えた。学校側は取材対応について検討中だとしている。【高良駿輔、面川美栄】

 ◇相談窓口

・24時間子供SOSダイヤル

 いじめやその他の悩みについて、子どもや保護者などからの相談を受け付けています。原則として電話をかけた所在地の教育委員会の相談機関につながります。

 0120・0・78310=年中無休、24時間。

・子どもの人権110番

 「いじめに遭っている」「家の人に嫌なことをされる」など、先生や親には話しにくい相談に法務局の職員や人権擁護委員が応じます。

 0120・007・110=平日の午前8時半~午後5時15分

・まもろうよ こころ(https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/soudan/sns/)

 さまざまな悩みについて、LINEやチャットで相談を受けている団体を紹介する厚生労働省のサイトです。年齢や性別を問わず、自分に合った団体を探せます。

・こころの悩みSOS(https://mainichi.jp/shakai/sos/)

 悩みを抱えた当事者や支援者への情報のほか、相談機関を紹介した毎日新聞の特設ページです。

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