劇薬誤投与の八幡総合病院が謝罪 患者死亡との因果関係は再否定

2025/09/01 21:19 

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 北九州市八幡西区の済生会八幡総合病院で入院中の90代の女性が適正な用量を大幅に上回る劇薬を投与され、その後死亡した問題で、八幡総合病院の古森公浩院長は1日、記者会見し「薬剤の誤投与は事実で申し訳なく思う」と謝罪した。一方で誤投与と死亡との因果関係については「直接的な因果関係はない」と改めて否定した。

 病院側の説明によると、女性は3月に急性腸炎で入院。女性の血圧が急激に低下したため、主治医が昇圧剤として使われるノルアドレナリンを希釈した上で投与するよう看護師に指示した。だが伝言を受けた看護師は誤って希釈せず、適正量を大幅に上回るノルアドレナリン2ミリリットルを投与した。女性の血圧や心拍数は急上昇し、その後容体は落ち着いたが、約1時間後に呼吸が停止し、約4時間40分後に敗血症性ショックで死亡したという。

 古森院長は「投与直後に心停止は起きておらず、呼びかけにも反応し、誤投与による重篤な副作用はなかった」と説明。予期せぬ死亡事故が起きた場合に義務づけられた第三者機関「医療事故調査・支援センター」への報告をしていなかったことについては「死亡とノルアドレナリンの投与との間に直接的な因果関係はなく、医療事故には該当しないと判断した」と述べた。

 病院は今後、口頭指示の原則禁止やハイリスク薬に関する教育の徹底など再発防止策を講じるという。

 北九州市保健所は1日、事実関係を調査するため、医療法に基づき八幡総合病院に立ち入り検査を実施した。【井土映美、山下智恵】

毎日新聞

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