「忘却は同じ悲劇生む土壌に」関東大震災 虐殺された朝鮮人らを追悼

2025/09/02 09:12 

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 死者・行方不明者が約10万5000人に上った関東大震災から102年となった1日、都立横網町公園(東京都墨田区)で、震災犠牲者や震災直後に虐殺された朝鮮人らを追悼する催しがあった。【東海林智】

 都慰霊協会主催の法要は、同公園の都慰霊堂で行われ、遺族らが参列した。一般の焼香もあり、多くの人が手を合わせていた。

 法要の後、公園内にある朝鮮人犠牲者追悼碑の前では、震災発生後に虐殺された朝鮮人や中国人、日本人の労働組合活動家らを追悼する式典も開かれた。

 式典は日朝協会都連合会など3団体が実行委員会を作り、1974年から主催している。この日は実行委や朝鮮総連都本部、平和団体などの代表が追悼の辞を述べた。あいさつの中で7月の参院選で差別や排外主義ととれる主張が飛び交ったことを念頭に「差別や排外主義が何をもたらすのか歴史から目を背けず学ぶべきだ」とした発言が相次いだ。

 歌手の加藤登紀子さんや小説家の深沢潮さんらがメッセージを寄せ、深沢さんは「虐殺の歴史は、語り継ぐことによって初めて未来への教訓となります。忘却は再び同じ悲劇を生む土壌となります」と警鐘を鳴らした。

 式には500人を超える市民が参加(主催者発表)し、碑に花を手向け、手を合わせた。葛飾区在住の会社員の男性(38)は「虐殺があったことを忘れてはいけないと思い、できる限り参加している。過去を都合良く解釈する昨今の風潮はとても危険だと思う」と話した。

毎日新聞

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