金正恩氏の訪中 娘ジュエ氏の同行は 「後継者」占うとの見方

2025/09/02 08:02 

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 中国・北京で3日に行われる「抗日戦争勝利80年」の軍事パレードに出席予定の北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記が、娘、ジュエ氏を同行させて訪中するかが注目されている。ジュエ氏が中国の最高指導者、習近平国家主席に会うことになれば、正恩氏の後継者と位置づけられている公算が大きくなるためだ。

 ◇「夫人同伴の可能性高い」指摘も

 朝鮮中央通信によると、正恩氏は1日に北京に向けて出発した。韓国の通信社「ニュース1」によると、正恩氏は政権発足後、計4回中国を訪問し、うち3回は妻の李雪主(リ・ソルジュ)氏が同行。「首脳間外交の慣例と儀典上、夫婦同伴は自然なことで、今回も李氏が金総書記と同行する可能性が高い」と伝えている。

 一方、北朝鮮国営メディアや朝鮮労働党機関紙「労働新聞」の2日早朝までの報道では、ジュエ氏の同行は確認されていない。

 ◇母親や叔母より「格上」の扱い

 ジュエ氏は2022年11月、正恩氏が新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星17」の発射実験を現地指導した際に初めて国営メディアに登場した。その後も軍事パレードや軍事訓練など数々の軍事分野のイベントに正恩氏と同行。式典で李氏や正恩氏の妹、金与正(キム・ヨジョン)党副部長よりも格上の立ち位置にいる様子が報道で伝えられており、後継者だとの観測が出ている。

 ◇過去には正恩氏「訪中」誤報も

 だが、北朝鮮の後継者の動向を把握するのは容易ではない。11年5月には聯合ニュースが、当時政権ナンバー2の党中央軍事委員会副委員長だった正恩氏が「中国を単独訪問した」と報じたが、後に誤報だったと判明した。当時、多数のメディアが聯合を引用しただけでなく、日本メディアを含む複数のメディアが韓国政府情報筋の情報として報じたことが問題となった。

 洪鉉翼(ホン・ヒョンイク)元外交院長はニュース専門テレビYTNの1日の番組で、ジュエ氏を連れていった場合、「全世界の視線がジュエ氏に注がれる」と指摘。このため、中国側への配慮として、「非公式の随行員として表に出ない形で同行する可能性もある」と述べた。【ソウル日下部元美】

毎日新聞

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