スラムダンクの「聖地」 江ノ電踏切で交通渋滞 鎌倉市が対策模索

2025/09/11 08:15 

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 人気バスケットボール漫画「スラムダンク」の「聖地」として知られる江ノ島電鉄鎌倉高校前駅近くの踏切で、オーバーツーリズム(観光公害)が問題になっている。交通渋滞などのトラブルが目立ち、地元の神奈川県鎌倉市が対策を模索している。

 9月9日昼、記者は踏切付近を訪ねた。景色を眺めるためか、大型のワンボックスカーが一方通行の坂道の途中で一時停止していた。道を塞がれた後続車が何度もクラクションを鳴らす音が響いた。

 踏切は、スラムダンクのアニメ版でオープニングシーンに描かれている。背景に相模湾が広がる風光明媚(めいび)なスポットで、大勢の観光客が集まる名所になっている。電車が通過するシャッターチャンス時は一斉にカメラが向けられ、道路にはみ出る人もいる。

 市は周辺の安全確保のため、江ノ電と協力して2017年度から警備員を配置。24年度からは1人を増員し、計2人体制で対応してきた。しかし、最近は車で来て周辺に一時停止し、写真撮影などをした後に走り去るケースが目立つようになったという。

 鎌倉市の松尾崇市長は8月下旬、黒岩祐治知事や周辺自治体の首長らとの懇談会で実情を明かした。松尾市長は、自家用車に客を乗せる違法な「白タク」や、外国人観光客を乗せた大型のワンボックスカーの一時停止が交通の妨げになっていると指摘。「ここ数カ月でフェーズ(局面)が変わってきてしまった」と述べ、問題解決への理解と協力を訴えた。

 さらに松尾市長は席上で「注意すると、威嚇されるという状況になった。地域住民とのトラブルも非常に感情的になってしまっている。さらに切り込んで対応しなければならない」と訴えた。

 同市の人口は約17万人だが、市内には年間で延べ1594万人(2024年度実績)の観光客が訪れている。【福沢光一】

毎日新聞

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