長崎訪問中の天皇ご一家 原爆ホームで懇談、被爆体験に耳傾ける

2025/09/13 13:38 

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 長崎県に滞在中の天皇、皇后両陛下と長女愛子さまは13日午前、長崎市内の「恵の丘長崎原爆ホーム」を訪問された。80~90代の被爆者8人と懇談。被爆体験だけではなく、約350人が暮らすホームでの生活も話題になり、笑顔で握手を交わす場面もあった。

 入所者は車椅子などに座り、ご一家は腰を落としてそれぞれの被爆体験に耳を傾けた。「つらい思いをなさいましたね」「ご無事でよろしかったです」などと伝え、今の生活についても質問。手芸や歌を楽しんでいるといい、皇后雅子さまが「若々しい」と応じるなど笑い声も広がった。

 最後に天皇陛下は「お体にどうぞお気を付けて」、皇后雅子さまは「今日はお会いできてうれしく思いました」と伝え、懇談は30分ほどで終わった。

 小川ハツヱさん(84)は4歳で被爆。部屋でままごとをしていたが、ガラス戸からとっさに離れて命拾いをした体験を語った。懇談後の取材に「被爆の話を聞いていただいて、優しいお人柄だと思いました」と話していた。

 原爆ホームは、介護が必要になった被爆者専用の入居施設。被爆者援護法に基づいて設置されている。広島、長崎両県にあり、両陛下は今年6月の広島市訪問の際は「矢野おりづる園」に足を運んだ。

 戦後80年にあたり、ご一家は12日に長崎に入り、平和公園や原爆資料館を訪ねた。13日午後からは「国民文化祭と全国障害者芸術・文化祭」に関係する日程となり、愛子さまは同行せずに帰京する。両陛下は14日に佐世保市で開会式に臨む。【山田奈緒】

毎日新聞

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