佐賀県警DNA鑑定不正 本部長「信頼大きく損なう」、県議会で陳謝

2025/09/17 18:24 

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 佐賀県警科学捜査研究所(科捜研)の職員(当時)によるDNA型鑑定の不正を巡り、県警の福田英之本部長は17日の県議会本会議で「県警に対する信頼を大きく損なう事案であり、重く受け止め、責任者として深くおわび申し上げる」と述べ、初めて公の場で陳謝した。県弁護士会などは第三者機関による調査を求めているが、「必要があるとは考えていない」とした。

 この日始まった一般質問では、質問した議員5人のうち4人がDNA型鑑定不正問題を取り上げた。福田本部長は答弁で「当該職員の職責への自覚が大きく欠落していた。幹部職員による業務管理、公文書の取り扱いのあり方などといった面でも改善を要する点があった」と見解を述べた。

 第三者委員会の設置については「県公安委員会に第三者的な立場から詳細に今回の調査を確認していただいている」とし、「必要があるとは考えていない」と答えた。複数の議員から再質問などで「信頼回復のためには第三者委の設置が必要だ」と指摘を受けたが、同様の答弁を繰り返した。県公安委の岸川美和子委員長も答弁で、設置の必要性を否定した。

 県警は8日、科捜研の技術職員がDNA型鑑定を巡り、実際にはしていない鑑定を実施したかのように装って報告するなど、7年以上にわたり130件の不正行為をしていたと発表。8日付で懲戒免職処分とし、虚偽有印公文書作成・同行使や証拠隠滅などの容疑で書類送検した。

 この問題で、九州弁護士会連合会(近藤日出夫理事長)は17日、「捜査や公判などの刑事司法手続きをゆがめるもので、到底許されない」とする理事長声明を発表した。声明では、佐賀県警の内部調査は過程が不明と指摘し、第三者機関による事実関係や背景などの徹底調査を求めている。【成松秋穂、森永亨】

毎日新聞

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