稲葉会長「NHKらしくなかった」 遺族抗議の戦後80年ドラマ

2025/09/17 19:58 

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 NHKが8月に放送したNHKスペシャル「シミュレーション~昭和16年夏の敗戦~」のドラマを巡り、戦時中に実在し、番組の舞台となった「総力戦研究所」の所長の遺族が抗議したことについて、NHKの稲葉延雄会長が17日の定例記者会見で見解を示した。「ドラマを面白くするに当たって史実と異なる脚色をしたのではないかと指摘されても致し方ない面はあった。今回の演出は、たとえドラマであってもNHKらしくなかった」と述べた。

 番組放送後に「総力戦研究所」初代所長の孫である元駐仏大使の飯村豊さんが会見を開き「祖父の人格を毀損(きそん)するような描き方をされた」などと批判した。同研究所は日米開戦直前に設立された首相直属機関で、開戦した場合を予測し、日本の必敗を報告した。

 NHKは17日の会見で、ドラマの脚本・編集・演出を務めた映画監督の石井裕也さんからの「個人の人格や人間性を再現することがテーマではなく、当時の状況とそこに生きる人々の葛藤を伝えることが主眼の作品」などとするコメントを公表した。【井上知大】

毎日新聞

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