非正規公務員の再任用上限、都内では30自治体が撤廃 昨年から急増

2025/09/22 15:52 

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 非正規で働く公務員、会計年度任用職員の雇用実態などを調べている「なくそう!官製ワーキングプア集会実行委員会」などが、東京都内全49区市と首都圏の計106自治体の採用制度や職員の離職対応を調べた結果を公表した。1年ごとに任用が切れる職員の雇用不安の要因にもなっていた再任用の上限は、都内の61%の区市が撤廃したことが分かった。

 調査は同実行委と公務非正規女性全国ネットワーク(はむねっと)が、都内の全区市と神奈川、埼玉、千葉各県の人口10万人以上の自治体を対象に、情報公開制度を利用して実施した。

 再任用の上限は、総務省が示した、公募を経ず再度の採用は2回までとする「3年目公募」が大量離職につながると批判を受けたこともあり、2024年6月に総務省は撤廃を通知し、自治体の対応が注目されていた。24年の調査で、上限を撤廃していた都内の区市は文京、世田谷区、八王子市など7自治体で約14%だったが、今回の調査では約61%の30自治体が撤廃したことが判明した。

 ただ、区部では品川区(毎年公募)や台東区(4回)など、市部では立川(4回)や武蔵野(同)などで上限が残っている。首都圏の他自治体でも、この1年で撤廃する自治体が急増する傾向にあった。また、都は4回を上限としていた。

 また、30人以上の離職者が出る場合ハローワークに届け出なければならない「大量離職通知書」を提出している自治体は76自治体(前年調査から26増)になったが、再就職支援に必要な1カ月前の期限を守っていない自治体は35に上った。離職者の再就職支援がおざなりになっている状況も浮かんだ。

 都内で会計年度職員として働く女性(34)は調査結果に「同じ仕事を4年続けている。来年更新できるか不安だったが、上限が撤廃されたことで、機械的に切られることはないかと少し安心した」と話した。調査した実行委のメンバーは「総務省の通知の影響はもちろん大きいが、現場の人手不足が深刻で撤廃した自治体も少なくない」と分析している。【東海林智】

◇会計年度任用職員の再度任用の上限の有無

 上限なし 千代田、中央、港(公募によらない)、新宿、文京、墨田、世田谷、渋谷、中野(専門職)、杉並、豊島、荒川、板橋、練馬、足立、葛飾、八王子、青梅、府中、調布、日野、国分寺、福生、東大和、清瀬、東久留米、多摩、稲城、あきる野、西東京

 上限4回 台東、江東、太田、北、江戸川、立川、武蔵野、三鷹、昭島、町田、小金井、小平、東村山、国立、狛江、羽村、東京都

 その他 品川(毎年公募)、目黒(6年、10年)、武蔵村山(3、5回)

毎日新聞

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